研究課題/領域番号 |
24520560
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田中 秀毅 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (50341186)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 英語 / 日本語 / 従属節 / 論理関係 |
研究概要 |
本年度は,関係詞節の論理関係に注目した。先行研究を整理すると,主節との論理関係について,非制限節では理由・譲歩の関係となること,先行詞が不定の制限節(不定制限節)の場合,非外置型では条件の関係,外置型では条件・理由・譲歩の関係となること,が導かれる。本研究は次の2点について考察した。 ①先行詞が定の制限節(定制限節)が主節と結ぶ論理関係 ②定・不定制限節がそれぞれ主節と結ぶ論理関係は,外置型と非外置型で異なるか。 ①については,不定制限節は条件解釈を許し,理由解釈を許さないが,定制限節は条件解釈に加え,理由解釈も許すことがわかった。この事実は,理由解釈が特定の個体(の集合)に適用されなければならないが,条件解釈は任意の個体でも,特定の個体でも適用されることを示唆する。理由の適用範囲がより限定されるのは,理由が理由であるためにはすべての個体に適用されなければならず,結果として理由が適用されるかどうかで個体を抽出することができないためだと考えられる。 ②については,条件・譲歩の関係が外置関係詞節と非外置関係詞節の両方で観察された。ただし,理由解釈の外置関係節については,さらなるデータ検証が必要である。Ziv (1976)の提示している,理由解釈になるとされる外置関係詞節の例は,先行詞が総称名詞になっている(ex. People cannot survive in our modern world, who do not earn enough money)。しかし,①で述べた理由により任意の個体に理由は適用されないはずだから,総称名詞に対して外置関係節が理由を表すことは予測に反する。実際,筆者の行ったインフォーマント調査では当該外置関係節は条件解釈として判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,関係詞節と主節の論理関係に焦点を当てることが研究目的だったので,関係詞節を制限節・非制限節,定・不定制限節,外置型・非外置型など,さまざまなタイプに分けて,主節との論理関係についてインフォーマント調査を行った。この調査の成果は,一部継続して調査すべき問題もあるものの,平成25年度以降に実施予定の関係詞節と分詞節との対照研究の基盤となると確信する。したがって,本研究はその目的に向けて着実に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,関係詞節と分詞構文の分詞節を対照することによって,それぞれの従属節と主節の論理関係を決定する因子を解明したい。そのためにも,平成24年度の研究で継続課題とした先行研究のデータ解釈の再検討を早期に実施したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度末(3月)に備品のカラー・レーザープリンターが故障したため,故障箇所を特定するためにメーカーに相談し,修繕費の見積を依頼した。見積が出るまで科研費残高を維持したが,見積額が残高を大幅に上回ることが判明したため,関係部署と相談の上,当該年度内の執行を中止した。平成25年度の科研費で当該残高の不足分を補ってカラー・レーザープリンターの修繕を行う予定である。
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