研究課題/領域番号 |
24520560
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田中 秀毅 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (50341186)
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キーワード | 主節 / 従属節 / 論理関係 / 条件解釈 / 理由解釈 / 個体述語 / 場面述語 |
研究概要 |
本年度は,英語の関係詞節と分詞節の意味機能を比較した。前年度の研究において,制限節の先行詞が不定の場合は主節との論理関係が条件解釈になり得ても理由解釈にはなり得ないのに対して,制限節の先行詞が定の場合は主節との論理関係は条件解釈に加え,理由解釈も可能となることを示した。分詞節は関係代名詞のような主語機能を担う要素(関係代名詞)を含まないため,この違いが分詞節と主節の論理関係にどのような影響を与えるか考察した。 Stump (1985)は,①分詞節が理由解釈を受ける条件として,当該分詞が「個体述語」(individual predicate)であること,②分詞節が条件解釈を受ける条件として主節が法助動詞または頻度副詞を含むか,習慣読みをもつか,と主張する。早瀬(2002)は,①が理由解釈が時間ドメインではなく,概念ドメインの解釈であることに由来し,②が主節が表す事態のタイプ性に由来すると分析している。この分詞節の特性は,関係詞節と次のように対応していると考えられる。先行詞が不定の場合,事態が数量的に限定されないため,タイプ的な解釈になる。これに対して,先行詞が定の場合,主節の事態が数量的に限定されることになるため,条件解釈が回避される。 なお,Stumpの②では,述語タイプについて規定されていないが,個体述語は許されず,場面述語(stage-level predicate)でなければならないと考えられる。そもそもある事態が条件と見なされるためには,その事態が常に成立していてはならないためである。実際,Iwabe (1986)が指摘するように,Being a bird, I could fly to youのように分詞句が個体述語である場合は,条件解釈ではなく,理由解釈が得られる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主要な研究課題である,関係詞節と主節の論理関係と分詞節と主節の論理関係の対応関係が確かめられたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度と平成25年度で英語の関係詞節と分詞節の関係を考察したので,最終年度となる本年度は日本語の連体修飾節と主節の関係に焦点を当て,英語との対照研究を行いたい。
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