研究課題/領域番号 |
24520561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
山路 奈保子 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40588703)
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研究分担者 |
アプドゥハン 恭子 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00184630)
因 京子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60217239)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 会話教材 / 研究留学生 |
研究概要 |
会話データの収集:所属する研究室の異なる研究留学生10名にICレコーダを貸与し、ゼミや学生同士の研究打ち合わせの会話を録音してもらった。これらの一部については文字化を行い、教材作成のための基礎データとして蓄積した。 教材の作成:会話データ収集と並行して、既存の初級日本語会話教材に改良を加えて中級日本語会話教材として週一回授業で通年の使用に適した教材として編集・試作した。 試験授業の実施と教育効果の検証:作成した教材を用いて試験授業を行い、受講した学生による教材の評価と授業の評価をアンケート、インタビューにより行った。試作教材、試験授業に対する受講学生の評価は概ね良好ではあったが、レベル差に対応した教室活動を導入するなど改善すべき点も示唆された。これらの結果は日本語教育学会秋季大会において発表した。 研究を進める中で、会話データから得られる情報の分析と教材内容の選定に下記のことが必要であると判明したため、上記の活動と並行して行った。 日本語のニーズに関するインタビューの実施:教材開発には対象となる研究留学生の日本語使用に関するニーズ把握が必要と考え、理工系専攻の研究留学生および留学生を指導する教員に対し、日本語の使用状況、必要性の認識、日本語教育への要望などを尋ねるインタビュー調査を実施した。調査の結果、指導教員と研究留学生の認識には差があり、研究留学生は研究のためにも、研究室の一員としての所属意識のためにも日本語習得の必要性を感じていることが明らかになり、本研究において開発をめざす研究室での会話を目標にした教材はニーズが高いと判断された。調査の成果は日本語教育国際研究大会、日本語教育学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究留学生の会話教材作成のために留学生と指導教員に対して詳細なインタビュー調査を行い、日本語使用の状況や日本語ニーズについて明らかにした。その結果、この研究の有用性が明確になり、教材作成の方向性が定まった。インタビュー調査の結果について学会に報告し、成果を公表した。 実際に試作教材を使って授業を行い、学生の評価をアンケート調査とインタビュー調査によって検証した結果、今後の改良に向けて重要な示唆を得ることができた。その成果についても学会で発表した。 当初は会話データ収集を先行して行い、それに基づいて教材を試作して25年度に試験授業を行う予定であったが、会話データ収集と教材試作、試験授業の実施を並行して行った。試作教材、試験授業に対する評価を行いつつ会話データ分析の結果を教材に反映させ改良を加えていくほうが効率的であると判断したためである。教材試作を先行させた結果、試験授業を通じて研究留学生の日本語ニーズをより明確に把握することができた。これによって最終成果物としての教材がより完成度の高いものとなることが期待できる。 これらの成果により、当初の計画以上に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
会話データの分析:すでに収集した会話データの文字化と詳細な分析を進める。また、さらなる会話データの収集を行い追加する。 試作教材の改良と評価:教材の試用結果に基づき、改良を加えた上で試験授業を実施する。24年度には実施しなかった、教室活動の観察や、受講した学生の指導教員へのインタビューなど、より多面的な評価を行う。それらの評価と会話データ分析の結果をモデル会話やタスクに反映させ、次年度の教材の完成へとつなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
収集した会話データの文字化が終了していないこと、試用教材作成のための基本データとして既存の教材を使用したことにより、テキスト入力のための人件費として確保した分の一部が平成24年度においては余剰となった。「次年度使用額」はデータの文字化作業と教材の大幅な修正作業を遂行するための人件費の一部として使用する。 25年度助成金は教材作成打ち合わせや研究発表のための旅費、教材の英訳・中国語訳作業のための人件費および試用教材の印刷費等に使用する。
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