研究課題/領域番号 |
24520562
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鹿嶋 彰 弘前大学, 国際教育センター, 准教授 (60372281)
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研究分担者 |
保坂 敏子 日本大学, その他の研究科, 教授 (00409137) [辞退]
島田 めぐみ 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50302906) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Can-do statements / 自己評価 / 回答の「ばらつき」 / 回答の「ゆれ」 / タイ / 台湾 |
研究実績の概要 |
Can-do statements(以下Cds)による自己評価は、さまざまな目的に有効な評価ツールであり、妥当性、信頼性も高いという評価がある一方、妥当性が低いという研究結果も有り、また個々の項目を回答者がどのように解釈するかによって自己評価が変わってきてしまうという分析もある。そこで、本研究では、Cdsの個々の項目がどのように解釈されるかについての資料を得ようという目的で開始され、特に、回答者間の「ばらつき」、回答者の自己評価の「ゆれ」が派生する要因を中心に分析を行った。 平成27年度は、タイの協力機関で前年度と同様の質問紙調査を行うとともに、11名の学習者に一名約80分の聞き取り調査を行い、学習者内の経年変化に基づく「ゆれ」がどのように現れるかを確認するための調査データを得た。 その中で1年次から4年間経年調査を行った学習者のデータ分析からは、特別な背景知識を要求する項目、あるいは不安などの心理要因が関係する項目は自己評価が伸びないのに対し、それ以外の課題は自己評価が伸びていることが分かった。また「ゆれ」には「流暢さ」への期待度が高くなったため起きる「ゆれ」、言語理解産出に背景知識が重要であることがより意識される結果起きる「ゆれ」が見られたが,同じ要求は実は他の項目にも見られ、「ゆれ」は言語能力や背景知識への要求が,たまたま自分が持っている能力や背景知識を超えていると判断されたときに出る一時的な現象であることが示唆された。 また、ばらつきが派生する要因は、本研究開始以前に行われた国内調査の分析で、「場面の知識」「回答者の特殊な言語場面の経験」「不安などの心理的要因」だったのに対し、海外でのデータでは、「場面や言語の知識」「経験の有無、授業内容の効果」「不安などの心理要因」だった。今後は、協力機関への情報のフィードバック等を含めた情報の発信を行っていく予定である。
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