研究課題/領域番号 |
24520564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
内海 由美子 山形大学, 基盤教育院, 准教授 (20292708)
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研究分担者 |
富谷 玲子 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (40386818)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カリキュラム / 外国にルーツを持つ母親 / ライティング・ストラテジー / 日本語習得支援 / 結婚移住女性 / 読み書き能力 / 社会参加 |
研究概要 |
挑戦的萌芽研究(平成21~23年度)に引き続き、日本人の母親と外国にルーツを持つ母親を対象に、読み書きの実際使用に関して調査を行った。前回の研究結果から、小学校に比べ、幼稚園・保育園(以下「園」とする)の方が、連絡帳がより重要な役割を果たし、外国にルーツを持つ母親に対する日本語習得支援の必要性も高いことがわかった。従って、今回は調査の範囲を園に絞り、園に子どもを通わせている親と、外国にルーツを持つ親の子どもを担当したことのある保育士を対象に、園と家庭のやりとりについて聞き取りを行うとともに、親からは連絡帳を借り受け画像データを作成した。24年度は21人(日本人の母親5人、日本人保育士4人、外国にルーツを持つ母親11人、同父親1人)に聞き取り調査を実施して音声データを収集し、15人の母親から合計43冊の連絡帳を借り受け画像データを作成した。 音声データは文字化し、園とのやりとりに関わる部分を抜き出して技能ごとに分類して資料を作成した。その資料をもとに分析を進め、日本人の母親であっても、最初から自信を持って連絡帳が書けるわけではないこと、外国にルーツを持つ母親が自尊感情を持てるかどうかには、園と必要かつ十分なやりとりができているという認識が持てるかどうかが関わっていることが明らかになった。また、その認識には、母親の日本語読み書き能力が影響を与えていることも明らかになった。 連絡帳の画像データは、文字化し、園と親の記述の構造、目的、頻出のパターンについて分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査およびデータ収集は計画を上回る実施状況である。音声データの文字化資料の分析も一定の成果を見た。一方、連絡帳の画像データの作成は完了したが、分析方法と分析フォーマットの開発はまだ確立していないため、今後、さらに検討と改善が必要である。連絡帳画像データの文字化資料の作成とその分析は試行段階であり、分析方法、分析フォーマットの開発と連動して進めていく必要がある。しかし全体的に見れば研究はおおむね順調に進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度前半はさらに調査を行う。特に、外国人登録者数や、日本語指導が必要な外国人児童生徒でも増加の傾向が見られるフィリピン出身者を対象としてさらにデータ収集を行いたい。音声データの文字化、文字化資料の分析を完了させる。 連絡帳の分析方法、分析フォーマットを完成させ、連絡帳の分析を次の点から進める。①場面・機能の洗い出し、頻度・重要度のラベリング、②場面や機能に特徴的な談話構造、③誤用分析
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は音声データの文字化を調査者が行うことにしたため、文字化が計画通りに進まず、次年度使用金額が発生した。24年度に収集した音声データの文字化を、次年度使用金額を用いて25年度に完成させる。
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