研究課題/領域番号 |
24520566
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
安 龍洙 茨城大学, 留学生センター, 教授 (80361286)
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研究分担者 |
金 光男 茨城大学, 人文学部, 教授 (10261728) [辞退]
内藤 哲雄 福島学院大学, 福祉学部, 教授 (20172249)
藤原 智栄美 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (40510201) [辞退]
杉浦 秀行 茨城大学, 留学生センター, 准教授 (70619626)
池田 庸子 茨城大学, 留学生センター, 教授 (30288865)
松田 勇一 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 准教授 (50406279)
奥村 圭子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10377608)
石鍋 浩 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (90424051)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外国人 / 対日観 / 日本人 / 自国観 / 意識の変化 / 相互理解 / 異文化理解 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、外国人と日本人双方の日本観及び外国観について認知的・情意的側面からその特徴を探り、多文化共生社会における日本人と外国人の相互理解の実態と問題点を探ることが研究目的である。2014年度の計画は、1)日本永住外国人の対日観の変化、2)日本滞在外国人の帰国後の対日観の変化、3)海外滞在日本人の自国観及び留学観の変化、4)医療専攻留学生の学習観の変化についてそれぞれ検討することである。上記1)については安(2015)の韓国人ニューカマーを対象に対日観を探った結果、日本人の性格に対する複雑な見方を示している一方で、日本の伝統文化に対してはポジティブなイメージを有していることがわかった。上記2)について安(2015)は日本留学経験を有する韓国人の対日観及びその変化を探った結果、特定の対日イメージがよりポジティブに変わったケースが一方で、直近の日韓関係の影響を受けてポジティブな対日イメージが揺らいでいる様子がうかがえた。上記3)について内藤(2014)はベトナムとガテマラで日本語教師としての長期滞在した日本人を対象に、海外滞在が日本イメージに及ぼす影響を分析した結果、日本の伝統の良さを再発見する一方で、日本人の人間関係が表面的であり、個性がないことへの否定感情が生じていたことが示された。また、池田(2015)は短期英語研修に参加した学生の海外留学に対する意識の変化について調べた結果、短期研修を通して英語学習・勉強や対人関係などに対する意識の変化がみられることがわかった。上記4)については石鍋・松田・安(2015)は医療専攻留学生の専門領域学習観に関する特徴を調べた結果、臨床実習の経験の有無がスキーマ形成に影響を与える可能性が示唆され、医療専攻留学生は1年時の時から就職を意識していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の「研究実績の概要」で述べたように、2014年度の研究計画は、1)日本永住外国人の対日観の変容、2)日本滞在経験者の帰国後の対日観の変化、3)海外滞在経験者の対日観について検討することである。2014年度は、外国人の対日観の変容について、日本留学経験者の帰国前と帰国してから2年以上経過した時点での対日観の比較(安2015a)、日本定住外国人の来日当初と現在の対日観の変容の比較(安2015b)についてそれぞれ論文発表した。日本人海外滞在経験者の対日観及び留学観の変容については、日本人教師の対日観の変容(内藤2014)と日本人学生の短期語学研修前後の留学観の変容(池田2015)についてそれぞれ発表した。また、石鍋・松田・安(2015)医療専攻留学生の学習観の変容について調べ学会発表をした。その他、研究分担者の奥村・杉浦は英語圏被験者(アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人)に対する調査を終えており、2015年度中に論文発表する予定である。研究代表者・安はタイ人、ロシア人、キルギス人、フィリピン人、ブルガリア人、ウクライナ人のデータ収集を終えており、2015年度中に発表する予定である。また、松田は日本定住台湾人に対する対日観の調査を実施しており、その結果、2015年度中に論文発表する予定である。さらに、石鍋・松田・安(2015)は医療専攻留学生の専門領域学習観については学会誌に論文投稿を準備しており論文作成がほぼ終わっている。 以上、2014年度は外国人の対日観の変容、日本人の自国観・留学観の変容について調べ論文3件及び学会発表2件の研究成果を上げた。特に、これまで検討してこなかった、1)日本定住者の対日観の変容、2)長期海外滞在日本人の自国観(日本観)の変容、3)医療専攻留学生の専門領域学習観の変容について調べ論文発表及び学会発表をしており、当初の予定通り研究が順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度である2015年度は、4年間の研究結果を総括して報告書を作成する予定である。また、収集済みのタイ人、ロシア人、キルギス人、フィリピン人、ブルガリア人、ウクライナ人、台湾人、英語圏の被験者のデータを分析して論文発表するとともに、比較的データ数が少ない英語圏被験者のデータ収集を増やし学会発表や論文発表をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度は、当該テーマのデータ収集に当たり、主に研究代表者及び研究分担者が勤務する大学周辺、またはサバティカル制度を利用して渡航した海外の大学に在籍する被験者を対象にしたため、当初の計画より旅費の支出が少なかったことにより支出の額が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究最終年度である2015年度は、比較的データ数の少ない海外在住被験者のデータ収集に必要な海外出張旅費として、2014度までの繰り越し分に相当する額を使用する予定である。
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