研究課題/領域番号 |
24520568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
佐々木 泰子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (20251689)
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研究分担者 |
楊 虹 鹿児島県立短期大学, 文学部, 准教授 (20571607)
辛 昭静 東京大学, 大学院情報学環, 特任研究員 (40597192)
佐々木 實雄 日本大学, 商学部, 教授 (80129949)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | SNS / CMC / 語用論 / ファイスブック / コミュニケーションモデル |
研究概要 |
本研究では新しいソーシャルネットワークサービス(以下SNS)であるフェイスブックにおける日本語母語話者及び非母語話者のやり取りで使用される日本語の語用論的側面に着目し、従来の日本語の語用論的規範の言説との比較を通して、新たなコミュニケーションスタイルの実態を明らかにし、モデル化することを目的とする。 そのために24年度は研究方法の精緻化を図るためまず関連の深い著書・著書・文献の精査及び研究動向の整理・確認を行った。具体的には、Cyberpragmatics - Internet-Mediated Communication in Context (Francisco Yus, 2011)及びPragmatics of Computer-Mediated Communication (Susan Herring, Dieter Stein, Tuija Virtanen, eds 2013)の2冊について勉強会を行いSNSに関する理解を深めた。 次に研究代表者及び研究協力者のフェイスブックについて意見交換を行った。その結果の分析、論文化は、投稿者の研究協力を得られたのちに行う予定である。その他に予め了解を得て「擬似ソーシャルメディア環境」として捉えたメーリングリストに基づく複数のメンバーが、メールのやり取りを通して情報交換を行い、共同でプロジェクトを進めるプロセスを対象とした研究を行った。その結果、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの新たな可能性について明らかにすることができた。 これらについては香港城市大学において開催された第九回国際日本語教育・日本研究シンポジウムにおいて2012年11月24日に共同発表(代表者:佐々木泰子、分担者:佐々木實雄)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は「関連の深い著書・文献の精査及び研究動向の整理・確認」「研究目的達成のための研究方法の再検討及び精緻化」「分析に適したデータ収集・整理・保存の方法の検討」「分析に必要なデータ数、収集時期、収集方法の確認」「各自の分析観点についての話し合い」「分析の方向性・妥当性についての相互チェック」を行う計画であったがそれらはすべて実施できた。 特にCyberpragmatics - Internet-Mediated Communication in Context (Francisco Yus, 2011)及びPragmatics of Computer-Mediated Communication (Susan Herring, Dieter Stein, Tuija Virtanen, eds 2013)の2冊の文献からはSNSに関する有益な知見を得ることができた。 しかしながら協力者の研究協力を得る方法については検討の余地が残された。そのため24年度は、予め了解を得て「擬似ソーシャルメディア環境」として捉えたメーリングリストに基づく複数のメンバーが、メールのやり取りを通して情報交換を行い、共同でプロジェクトを進めるプロセスを対象とした研究を行った。この研究では、初めはおよそあらゆる意味で(物理的にも社会的にも)離散的な存在として「フラットな関係」(安田2012)にあった集団が擬似ソーシャルメディア環境の中でプロジェクトの実現プロセスに携わることによって、戦略的に適切な日本語使用を媒介とした価値合理的な「チーム」(Marschak & Radner 1972)を自生的に形成できることが示された。このことからSNSにおいても同様の人間関係の構築プロセス、さらにはSNSを媒介としたプロジェクトの実現のプロセスが想定され、これからの研究への有益な示唆が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
この研究は方法論的に捉えた時、現在、様々な分野で新たな多面的なフロンティアを拓きつつあるが、それぞれの分野の研究は未だ萌芽的な状態にあり、学際的にも統合化されて研究が推進されていく必要があるように思われる。したがって、今年度も引き続き「関連の深い著書・文献の精査及び研究動向の整理・確認」を行っていく予定である。さらに学会等で同じ関心を持つ研究者との交流を深め、情報交換を行いたい。 24年度の研究を通して、現在、SNSがどのように使用されているのか、その実態を包括的に捉える必要があることが分かった。そのため今年度は、日本人大学生や留学生、さらには海外の日本語学習者がどのようにSNSを通じてコミュニケーションを行っているのかについて、インタビュー及び質問紙調査を実施することとした。 具体的には、まずインタビュー調査を代表者及び協力者がそれぞれ3名ずつ12名に対して行う。それをもとに質問紙を作成し、国内外の協力者に依頼して質問紙を配布する。質問紙の回収後、その結果を分析しSNSが日本人同士、あるいは異文化間のコミュニケーションに果たしている役割を明らかにする。その結果を国内外の学会で報告し、意見交換を行う
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次年度の研究費の使用計画 |
方法論や他の研究領域の最新の研究成果の確認をするために談話研究関係図書、日本語教育関係図書、電子情報関係図書等の文献の購入をする。 他県の分担者も含めて、定期的に打ち合わせを実施するため旅費を使用する。また本研究はアジア言語を中心に広く諸言語母語話者を研究対象としているため、研究成果を国内のみだけでなくアジアを含む諸外国での学会発表を通して他の研究者との意見交換、インタビュー、成果の公開のために旅費を使用する。 さらに今年度は質問紙及びインタビュー調査も行うため収集したデータの整理及び処理のためにPCの購入および収集したデータの整理及び処理のために謝金を使用する。謝金は他にもデータ収集、保存データの作成(CD-R)、ホームページ管理、その他データ管理などにも使用する
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