研究課題/領域番号 |
24520569
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
加賀美 常美代 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (40303755)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 異文化理解 / 異文化間コミュニケーション / 日本イメージ / 異文化間コンフリクト / 韓国;中国;台湾 / 価値観 |
研究概要 |
昨今、東日本大震災、放射能汚染、長期の経済不況等、アジア諸国の日本イメージに影響を与える社会環境的事象が多発しており、ここ数年で日本イメージは変化がみられることが推測される。本研究では東日本大震災以降、韓国在住の上級日本語話者がどのような日本イメージを持っているか質的に検討することを目的とした。方法は2012年9月中旬に21歳-28歳の韓国在住上級日本語話者14名を対象に、20答法により日本イメージを最大20個まで記入するように求めた。各回答に基づき記入の理由や背景を明らかにするため、面接調査を実施した。20答法で得られた対象者の回答264例をKJ法で分類した結果、16の大カテゴリーが生成された。「大衆文化の豊かさ」が最も多く、次いで「日本社会・日本人気質への好意的理解」「歴史・政治」「地震・放射能」「人間関係困難」などであった。これらのカテゴリーを肯定、否定、中立に分類した結果、肯定が過半数を占め、否定が4割、中立・不詳が1割未満となった。2006年に実施した加賀美・守谷他(2008)の調査と類似したカテゴリーは、「社会的環境整備」「食文化の豊かさ」「地理・自然環境」「大衆文化の豊かさ」「歴史・政治」「伝統の継承重視」「経済・産業の発展」「現代社会事情」であった。一方、本調査で抽出された特徴的なカテゴリーで肯定的なものは「日本社会・日本人気質への好意的理解」「多様性受容」「日本への親近感」「世界からの期待・国際的存在感」であり、否定的なものは「人間関係困難」「日本社会・日本人気質への違和感」「地震・放射能」「経済の衰退」であった。これは本対象者の多くが留学体験や日本人の友人、日本に高い関心と豊富な知識を有していることを示している。「地震・放射能」「経済の衰退」は従来見られなかった否定的イメージで、震災、原発事故、経済の低迷等、近年の日本の情勢を反映したものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.韓国での上級日本語話者14名を対象に面接調査が実施できたこと 2.日本に在住する韓国、中国、台湾出身の留学生にも面接調査ができたこと 3.質的分析に足るデータ収集が終えることができ、それらの内容分析も順調に行われていること 4.韓国におけるwebによる質問紙調査も実施できたこと、 以上の点でおおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.質的分析結果について6月に学会発表を行う。 2.韓国で実施した質問紙調査の統計的分析を進める。 3.論文化の準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.台湾におけるwebによる質問紙調査の実施 2.データ入力とデータ分析 3.共同研究者、研究協力者との分析、打ち合わせ 4.学会発表のための交通費 5.関連図書など
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