研究課題/領域番号 |
24520569
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
加賀美 常美代 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (40303755)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 異文化理解 / 異文化間コミュニケーション / 日本イメージ / 異文化間コンフリクト / 価値観 / 台湾・中国・韓国 |
研究実績の概要 |
本研究では、台湾の国民意識と日本イメージについて年代ごとに検討することを目的とした。インターネットWebによる質問紙調査は2013年11月から12月まで実施された。その結果、台湾に居住する、20歳-24歳106名、25歳-29歳107名、30代106名、40代104名、50代102名、合計525名(男性267名、女性258名)の回答が得られた。対象者の居住地区は地域的な偏りはほとんど見られなかった。質問紙の内容は国民意識については唐沢(1994)の「国民意識尺度日本語版」を参考に作成した。日本イメージは加賀美・朴・守谷ほか(2010)で使用した形容詞19項目のほかに、社会的環境的事情に関する新たな項目(21項目)を加え40項目とした。国民意識の因子分析の結果、『台湾人としての自尊心』、『国際社会における台湾の優越性』、『外国に対する開放性』、『外国に対する閉鎖性』の4因子が抽出された。日本イメージは、『親和的開放性』、『集団主義的先進性』、『攻撃性』、『自己表現の抑制』、『自然災害』『独自性重視』の6因子が抽出された。これらの各因子について年代ごとに一元配置分散分析、多重比較を行った。分析の結果、国民意識は『外国に対する閉鎖性』を除く全てに年代間の有意差が認められた。『外国に対する開放性』の平均値が全体として高かったものの、『国際社会における台湾の優越性』、『台湾人としての自尊心』ともに3因子は20歳-24歳が最も低く年代とともに高い傾向がみられた。日本イメージについては『集団的先進性』、『自己表現の抑制』『独自性重視』の3因子は年代間において有意差が認められなかった。『親和的開放性』は20-24歳が最も高く40代が最も低かった。『攻撃性』は20-24歳が最も低く年代とともに高くなる傾向があった。『自然災害』の平均値は年代とともに高く40代で最も高い傾向が認められた。このように、日本イメージは概して20代が低い傾向が特徴であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.韓国の上級日本語話者14名を対象に面接調査、質的分析を行い、論文化した。 2.韓国のweb調査の結果、年代別の分析を行い発表し、投稿した。 3.日本在住の台湾人日本語上級話者の日本イメージを面接した結果について論文化した。 4.台湾のweb調査の結果、年代別の分析を行い、学会発表や論文執筆の準備を進めている。 5.中国人留学生の領土に対する日本イメージについて、中国人留学生を対象に発表した。以上の点で、概ね順調に進んでいるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
1.台湾のweb調査の結果、年代別の分析を行い、6月に学会発表を行う予定である。 2.中国人留学生の領土に対する日本イメージについて質的に分析した調査結果を学会誌に投稿する予定である。 3.1の修了後、論文化の準備を行う。 4.全体の報告書を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
台湾で実施したインターネットによる調査の統計的分析及び自由記述の整理が予定より遅れたことから、次年度の学会発表および論文化、報告書作成が持ち越されることになってしまったから。
|
次年度使用額の使用計画 |
1.関連学会で台湾の日本イメージの年代別分析結果を行うため、学会参加費、交通費等に使用する。 2.平成24年度から27年度までの一連の成果をまとめた報告書を作成するために、印刷費用として使用する。
|