研究実績の概要 |
本研究では台湾の国民意識と日本イメージとの関連について年代ごとに検討することを目的とした。インターネットWebによる質問紙調査は、2013年11月から12月まで年代ごとに実施された。その結果、台湾に居住する20歳-24歳106名、25歳-29歳107名、30代106名、40代104名、50代102名、合計525名(男性267名、女性258名)の回答が得られた。対象者の居住地区の地域的な偏りは見られなかった。質問紙の国民意識については、唐沢(1994)の「国民意識尺度日本語版」を参考に作成した。日本イメージは加賀美・朴・守谷ほか(2010)で使用した形容詞19項目のほかに、社会的環境的事情に関する新たな項目(21項目)を加え40項目とした。国民意識に関する因子分析の結果、台湾人としての自尊心、国際社会における台湾の優越性、外国に対する開放性、外国に対する閉鎖性の4因子が抽出された。日本イメージは、親和的開放性、集団主義的先進性、攻撃性、自己表現の抑制、自然災害、独自性重視の6因子が抽出された。これらの各因子について年代ごとに一元配置分散分析、多重比較を行った結果、国民意識については外国に対する閉鎖性を除く全てに年代間の有意差が認められた。外国に対する開放性の平均値が全体として高かったものの、国際社会における台湾の優越性、台湾人としての自尊心ともに3因子は20歳-24歳が最も低く年代とともに高い傾向がみられた(F(4,520)=2.870,p<.05; F(4,520)=4.542, p<.01; F(4,520)=8.898,p<.01)。日本イメージについては集団的先進性、自己表現の抑制、独自性重視の3因子は年代間において有意差が認められなかった。親和的開放性は20-24歳が最も高く、40代が最も低かった。攻撃性は20-24歳が最も低く、年代とともに高くなる傾向があった。
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