研究課題/領域番号 |
24520570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
三枝 令子 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (60215580)
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研究分担者 |
佐藤 富士子 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (30316913)
三枝 優子 文教大学, 文学部, 講師 (30348198)
青柳 佳子 目白大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30574032)
川村 よし子 東京国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40214704)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 介護 / 言語政策 |
研究概要 |
介護の新カリキュラムの全テキスト(中央法規、ミネルバ、けんぱく社の3出版社分)をスキャナーで読み込み、電子ファイル化した。量が膨大なため、1社分に限定することも考えられたが、資料としての説得力を重視し、3社分を対象にした。同時に、個人記録に関わるという点でプライバシーに配慮しつつ、介護記録、介護日誌等の介護現場の資料の収集を、異なるタイプの現場において行った。口頭での引き継ぎ等の音声による記録収集も若干行った。これらの現場資料については、介護の専門側と日本語教育の専門側とで内容の確認を行ったが、介護の専門側にとっても、不適切と判断される表現、専門用語が使用されていることが明らかになった。スキャナーで読み込んだテキストについては、語句の修正、分かち書き作業を開始した。また、海外、主に、中国、アメリカ、台湾の介護実体の資料収集を行った。 2012年9月22、23日に京都女子大学で開催された「日本介護福祉学会大会」において、「日本人・外国人介護従事者の共生を目指して」と題して、自主企画シンポジウムを行った。シンポジストの一人、中山辰巳氏は、特別養護老人ホームの施設長として、2008年から毎年インドネシア候補者を2名ずつ受け入れている。受け入れの際の問題、その後の介護研修、国家試験に向けての準備などにおいて直面したさまざまな困難と、打開方法が報告され、今後の受け入れのあり方を考えるにあたって大いに参考になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は新カリキュラムのテキストデータをファイル化し、読み込んだデータの誤りを修正することが作業目標の一つだった。介護テキストの読み込み作業に当たって、質の高い協力者が確保できたため、おおむね作業は順調に進んだ。ただし、データの修正作業は、すべてのデータについては行えなかった。また、介護記録、日誌等のデータ収集を平行して行ったが、介護の専門家がそれぞれに、介護施設と密接なつながりを持っており、かつ信頼関係が構築されているため、多くの資料が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度電子ファイル化したデータの修正作業を行う。その後、難語の検討を介護と日本語教育の両面から検討し、抜き出し、言い換え案の作成作業を行う。日本語教育の観点からは難語と判断されるものも、医療、介護の現場では使われてきた用語が多い。しかし、現状を変えないでは、外国人にとってだけでなく、日本人にとっても難解な用語が使われつづけることになる。特定の語が使われるに至った経緯や諸外国の用語も視野に入れながら、平易化の作業をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、分担者の佐藤氏が経費を執行しなかった。当初、佐藤氏の所属機関の学生に作業を依頼する予定で、実際に作業を試みてももらったが、その結果、介護用語に通じていても、コンピュータの操作に慣れていないと、非常に作業効率の悪いことがわかり、読み取り作業は、代表者の所属機関で行うこととした。この未使用額は、佐藤氏が平成25年度に執行する予定である。平成25年度の研究費は、主に、データの修正作業、難語の取り出し作業の謝金に充てる。また、資料収集のため、医学看護関連の辞書を購入する。語彙の平易化には、業界の多くの人の理解協力が欠かせないので、作業の途中経過を、10月に熊本学園大学で開催される日本介護福祉学会で発表する予定である。
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