日本語の学習や教育は古くから各地で展開され、その史実の中には今日の日本語教育や国際文化交流の抱える課題に示唆を与えるものも多い。資料のデジタルデータ化が進み、多様な資料に容易にアクセルできるようになった現在、日本語教育史は、新たな成果が大いに期待できる分野である。本課題では、日本語教育史への関心を促すために、前科研での課題『日本語教育史テキスト作成に向けた基礎的研究』に続き、より具体的な情報を広く届けるために、『日本語教育・学習史のホームページ』を作成した。ここでは、本領域の研究に不可欠な資料情報をはじめ、研究テーマの具体例と先行研究に関する情報を掲載した。日本語教育史は、複数の隣接領域に関わる学際的な領域であるということ、日本語教育が世界各地で実施されているという現状を踏まえ、テーマ例や参考文献を広い範囲から選択した。この一部は、本課題代表者の授業で試行したものである。なお、資料の一つとして、日本語教育史研究資料国語文化研究所編『コトバ』の「外地版」「コトバ情報」をデジタルデータ化し、本ウエブ上に掲載するとともに、冊子を作成した。 情報の公開にあたり、日本語教育学を志す中国人留学生が多いことを考慮し、中国語版も掲載した。当分野は、国内外の教員や学習者、国際交流事業関係者のほか、日本語話者一般の間においても、潜在的な関心は高いものと推測される。なお、コンテンツの拡充や表示の多言語化は課題終了後も継続的に行っていく。
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