研究実績の概要 |
研究が進行するなかで、授業中の教師のふるまいの分析を通して、学習者の学習意欲を支援者として教師がどのようにデザインすることができるかという点に関心が集中した。平成26年度の研究経緯は次のとおりである。平成26年度にはいってすぐに分析手法をGTA(Grounded Theory Aapproach)での分析からSCAT(Steps for Coding and Theorization)での分析に変更した。その理由は、平成25年12月にSCAT分析を知り、本研究のような小規模な分析の際、GTAの分析よりも適していることを確認したためである。4月末に本科研の分担者、連携研究者を含む全員が専門家からSCATの分析方法について教授を受けた。SCAT分析は他の研究者にとっても効果的な分析方法であることから、半公開の研究会という形をとった。 研究成果は経験豊かな教師の聞き取り内容と実際の授業録画の分析を行った。教授者のふるまいに関するインタビューから得た分析結果は2014年8月にハンガリーで開催されたヨーロッパ日本語教育連絡会議で発表、論文集に掲載した。また実際の授業の分析に関しては、研究会を2回開催し録画したデータをケラーが提唱したARCS(Attention, Relevance, Confidence, Satisfaction)モデルの枠組みを使って分析し、2014年10月に開催された日本語教育学会秋季大会でポスター発表を行った。また、インタビューデータをSCATの分析手法で分析し理論的記述をおこなった。本研究では、授業内における教師のふるまいが学習意欲のなかの注意、関連性、自信という3点と大きく関わりを持ち、経験豊かな教師は関連性と自信について授業中にさまざまなモニターを繰り返しながら、各学習者に適した授業を提供しまたそのふるまいは特徴あるものだということがわかった。
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