• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

話しことば教育のシラバス作成に向けた日本語の雑談の類型化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520577
研究機関大阪大学

研究代表者

筒井 佐代  大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80227438)

キーワード雑談 / 会話分析 / 連鎖組織 / 日本語教育
研究概要

本年度は、日本語母語話者による会話データ、特に男性と女性の会話のデータを収集し、文字化資料を作成した。そして、これまで行っていなかった、話題の開始から終了までにおける連鎖組織の組み合わせに関する分析を行った。
特に注目したのは、会話参加者間で意見の対立が起こっている部分で、対立が生じる連鎖組織の後に話題転換が起こるのかどうか、またその際どのような連鎖組織が現れるのかに焦点を当てた分析を行った。その結果、日本語の雑談においては、対立の連鎖が終了しても、話題自体は終了せず、すぐに同じ話題の中での別の評価対象を持ち出して新たな意見提示の連鎖が開始され、意見に対する同意が行われて対立が解消されるという現象が観察された。対立を解消しないまま話題転換が起こる例は見られなかった。したがって、意見の対立の連鎖組織の後には同意の連鎖組織が現れるという組み合わせの傾向があると言える。他の言語では必ずしもこの組み合わせが重要であるとは言えないようであり、日本語の特徴として扱うことのできる現象であると考えられる。また、この同意の際に、典型的に終助詞「ね」が用いられていたことも、言語形式上の特徴であった。
また、対立後に持ち出す別の評価対象については、会話参加者間での共有経験に基づくものや、一般常識等の共有知識に基づくものが典型的であり、対立している状態であっても、同じ立場にある者同士であることを指標することが、特徴的に見られた。このような会話参加者間での知識状態を参照して対立を解消することは、近年議論が盛んに行われている認識性の概念と密接に関わっており、認識性という言語普遍的な概念を用いた研究を行うことで、日本語の特徴がより浮き彫りになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在のところ、話題と連鎖組織の組み合わせに関する研究を行っているが、すべての組み合わせを一度に網羅的に分析することはできないため、日本語学習者にとって難しく、また習得が必要であると思われる、「思考・感覚」に関わる連鎖組織に焦点を当てて分析を行った。これ以外に「事態・属性」に関わる連鎖組織があるが、こちらの分析はいくつかの組み合わせは明らかになっているものの、分析が遅れている。

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き、連鎖組織の組み合わせに関する研究を進める。特に、事態・属性に関する連鎖組織と思考・感覚に関する連鎖組織が、どのように組み合わせられて雑談を構成しているのかに焦点を当てて分析を行う。当初予定していた、シラバスモデルの作成については、連鎖組織の組み合わせの分析がすべて終わらなければできないため、今年度中には困難であると予想されるが、シラバス化を念頭に置いて研究を行い、今後の研究の基盤としたいと考える。

次年度の研究費の使用計画

研究が当初の計画より時間がかかったため、アルバイトに作業してもらうことができず、当初の所要額より低い金額となった。
アルバイトに入力作業をお願いするのに加えて、学会発表の旅費、年度末に報告書の発行を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 日本語母語話者の雑談における対立と融合のダイナミズム2013

    • 著者名/発表者名
      筒井 佐代
    • 学会等名
      社会言語科学会
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      20130907-20130908

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi