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2012 年度 実施状況報告書

日本語・中国語・英語の発話行為と日本語学習者語用論的能力の習得に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520579
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

畑佐 由紀子  広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40457271)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードアメリカ
研究概要

平成24年度には5月からアンケート項目をするための文献調査を行った。これを基にアンケート項目を作成し、英語に翻訳した。そして、7月から8月にかけて米国のミドルベリー大学で調査を行った。さらに、10月から12月にかけて米国のパデュー大学でも調査を行った。その結果、中上級の学習者40人から分析可能な回答を得た。しかし、項目数が多いこと、アンケートが英語であっても、回答が日本語であったため、日本語能力の低い初中級の学習者の回答には、途中で回答をやめてしまったり、回答を簡略化したりしたものが多く、分析可能なデータは得られなかった。
中上級の回答は手書きであったので、すべて文字化して、エクセルのデータベースにした。また、発話行為のタイプ、状況のタイプ、親疎・上下関係、発話行為の必要性などをコード化して、分析した。この回答結果については、現在も分析中であるが、同じタイプの発話行為であっても、場面によって発話行為を行うか否かについて同じ母語話者間で違いがあることが分かった。また、学習者からアンケートの場面が一部自分の文化ではあまり現実的ではないというフィードバックがあった。
そこで、より精度の高いアンケート項目を作成するために、まず、発話行為をするかどうかの基準となる上下・親疎関係、発話行為の種類、状況の現実味、発話行為の必要性などについて、意識調査をすることにした。これを基に、言語間で発話行為が必要と思う場面かどうか、なぜそう思うかについて調査し、そのうえで、に言語間、文化間でずれが大きく学習者の母語、日本語のどちらかで発話行為を行う必要性の高い場面に絞ってアンケートを作成することとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度で予定されたのは(1)「文句」「交渉」「反対意見の表明」「誤解の釈明」の日本語の文献調査をすること、(2)日本語の先行研究で使用された「依頼」「勧誘」「断り」「謝罪」をもとに談話完成テストのアンケート項目を作成し、試行すること、そして、「依頼」「勧誘」「断り」「謝罪」(2タスクを作成し、試行することであった。と発話タスクを作成し、事前調査を行い、分析すること、そして、基礎となる文献調査をすることであった。このうち(1)については順調に進み、談話完成テストも作成した。(2)については、先行研究で用いられた談話完成テストには、場面やフォーマット、質問内容にばらつきが多いことわかり、先行研究で使用されたものをそのまま使うことには問題があることが分かった。(1)と(2)については、ミドルベリー大学だけではなく、当初予定していなかったパデュー大学からのでもデータを収集したが、談話完成テストの規模が大きかったことや、アンケート調査を通して、談話完成テストの精度を高めなければ、発話タスクを選定することはできないことが明らかになった。そこで、(3)の発話タスクは行わず、まず談話完成テストのアンケート項目について先行文献を網羅的に調査し、テストとして使用可能なものを選定することとした。最後に、当初は中国語話者を対象として事前テストを行う予定であったが、先行文献では、英語母語話者を対象としたものが多く、比較検証を考え、英語母語話者で事前調査を行った。

今後の研究の推進方策

本年度は、談話完成テストの精度を上げ、コンピュータでのアンケート調査をすること、そして発話タスクの作成を目的としている。そのため、現在日本語だけではなく、英語の先行研究での談話完成テストをすべて収集し、データベース化する作業をしている。このデータベースは、「依頼」「勧誘」「断り」「謝罪」「文句」「交渉」「反対意見の表明」「誤解の釈明」を対象とし、先行研究における対象言語、母語、結果等についてまとめるほか、会話だけ場面を含むなどフォーマットについても分類するものである。さらに発話行為に影響を与える要因についてもコード化する。
データベースの中で、先行研究で最もよく使われているフォーマットを採用し、意識調査のアンケート項目を作成する予定である。このアンケート項目は学習者の母語のみで行えるよう翻訳し、回答も数値で評価するものである。この結果を基に、日本語母語話者と英語・中国語母語話者の回答にずれが大きかったもの、どの言語でも発話行為の必要性が高いと認められたものを基に、オンラインのアンケート項目を作成する。そして、事前調査を行い、修正を加えた後、本調査を行う予定である。
アンケートの事前調査を基に、発話行為を遂行する発話タスクを作成する。協力校で授業中にやってもらい、インタビューを通して課題の難易度や妥当性を調査するとともに、実際の発話を書き起こして、分析可能なデータが収集できるタスクかどうかを調べる。

次年度の研究費の使用計画

発話行為のデータベースの補助として大学院生を雇用することとした。また、
これを英語と中国語に翻訳するため、翻訳者を雇用する予定である。さらに、オンラインのアンケート調査を作成するためのプログラマーを補助を雇用する。
データベース作成のための文献、および、データを整理するためのパソコン、そして、発話タスクのデータを保存する外付けハードディスクを購入する。
さらに事前調査と学会出席のために旅費を当てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] The Gap between Theory and Practice: Problems and Possibilities2012

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Hatasa
    • 学会等名
      2012 Canadian Association f Japanese Language Education
    • 発表場所
      Banff, Canada
    • 年月日
      20120803-20120804
    • 招待講演
  • [学会発表] Communicative Approach and Native-likeness.2012

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Hatasa
    • 学会等名
      The 19th Princeton Japanese Pedagogy Forum
    • 発表場所
      Princeton University , USA
    • 年月日
      20120519-20120520
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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