研究課題/領域番号 |
24520582
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
山下 暁美 明海大学, 外国語学部, 教授 (10245029)
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研究分担者 |
井上 史雄 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (40011332)
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キーワード | 緊急時の日本語 / 災害時のコミュニケーション / 日本語教育教材 / 社会言語学 / 日本語支援 / 在日外国人 / やさしい日本語 |
研究概要 |
1.茨城県(北茨城市・日立市・東海村・ひたちなか市・大洗町・鉾田市・神栖市・潮来市・水戸市・小美玉市)、千葉県(銚子市・匝瑳市・山武市・九十九里町・茂原市・いすみ市・鴨川市・館山市・市原市・千葉市・浦安市・市川市・流山市・柏市・成田市)において、在日外国人対象に災害時のコミュニケーションに必要な語彙調査を実施した。 2.平成25年度版(平成26年1月発行)『災害時命綱カード・共通語版(ひらがな表記付)』500部を発行し、調査協力者や公共機関の窓口に配布した。これは調査結果によって明らかになった災害時に必要な語彙を名刺サイズのカードにしたもので、英語、中国語、韓国語訳をつけた。 3.科学研究費補助金基盤研究(C)課題番号24520582研究成果報告書『命綱としての日本語ー緊急時コミュニケーションの社会言語学的総合研究』(全109ページ・2013年12月)を発行した。内容は、「調査と結果の概要」(山下暁美)ほか、「災害時の言語景観の問題点ー避難所表示の多様性ー」(井上史雄)、「災害時の言語対策に関する考察」(山下暁美)、「外国人住民からみた方言と災害ー福島県在住外国人へのインタビューをもとにー」(中川祐治)、「外国人が言い換えた「やさしい日本語」ー茨城県・千葉県におけるインタビューを通してー」(中西太郎)、「災害時語彙の理解度と情報収集方法から考えた外国人住民への日本語支援」(沢野美由紀)、「公共施設の言語使用実態と考察ー東京23区を中心にー」(張海燕)となっている。 4.国立民族学博物館平成25年度第1回共同研究会(7月19日)「日本における移民言語の基礎的研究」において、これまでの研究成果の一部「定住外国人の身を守る日本語環境は万全かー命綱カードの作成に向けて」(発表者・山下暁美)を発表した。 5.平成26年度第一回研究成果報告会(平成26年4月27日・宇都宮共和大学において)で9名が研究成果の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.当初の予定では、3年目に報告書を発行する予定であったが、調査結果の分析が進み、2年目で執筆者6名の原稿が集まったため報告書を発行した。 2.平成25年度に『命綱カード・共通語版』を作成し、これまでの調査協力者や関東および東北地方における国際交流協会等の機関に配布した。英語、韓国語、中国語訳、方言訳をつけた。 3.研究会で研究成果発表を行った。また、本研究グループ内のディスカッションの機会も設けた。分担者や協力者が先行研究成果について共通の理解を得て、内外の同種の研究がどのように進んでいるかについて報告会を開き、意見交換を行った。 4.平成26年度第1回科研費研究成果発表会および打ち合わせ会議を平成26年4月27日に宇都宮共和大学において開催し、現状の課題と今後の研究計画について確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1.『災害時命綱カード・共通語版』(平成25年度版)をすでに公共機関、在日外国人協力者に送付したので、カードについての評価や改善点などについて意見をまとめる。 2.英語、中国語、韓国語以外の言語も訳につけてほしいという要望が強いので、どの地域にどんな言語の訳を必要としている外国人が何名程度在住しているかを調査し、必要度の高い言語順に翻訳付を検討し、改訂版を発行する。 3.平成25年度の報告書とは別に、学会発表等の原稿を報告書No.2として発行する可能性を考える。研究成果の発表を活発に行う。 4.これまで調査していない地域の情報を得るととともに、他の機関が発行している災害時の「やさしい日本語」やマニュアル等を研究し、統一のとれた言語支援の道を探る。 5.若手研究者を中心に同テーマについて研究の継承と発展を活発化させる。
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