本研究は、日本語の読み書きに終始してきた従来のろう教育に対し、「マルチリテラシーズ」概念の有効性をまとめ、検証するものである。本来音声言語である日本語を、主に視覚的モードから習得する場合、文字だけでなく、映像や絵画・イラスト、グラフ・表など、マルチモーダルに意味を読み解く力を養うことの重要性、書記日本語と日本手話との間にある、言語の階層差からの脱却への有効性がまとめられた。先行研究をもとに、ろう教育との関係性でとらえた成果を、口頭発表、出版などで発信した。ただし、教育実践に基づく実証面では、主に、携帯メールによる日本語作文、静止画を用いた批判的リテラシーの育成例にとどまった。
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