研究課題/領域番号 |
24520589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
谷口 正昭 静岡産業大学, 情報学部, 准教授 (60533213)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 帰国児童 / 言語保持 / バイリンガル / 読解力 |
研究概要 |
平成24年度に実施した研究の概要は、以下の通りである(3か年計画の1年目)。 1.【バイリンガル児童の実態、教育史、研究等の概観】先行研究資料、参考文献、関連書籍の収集により、(1) バイリンガル児童の主な類型を調べ、(2) 本研究における「バイリンガル」を定義し、(3)バイリンガル児童の言語習得過程の概要を把握した。さらに、(4) 帰国児童を取り巻く社会環境を概観し、(5) 帰国児童を対象とする言語教育について現状分析をした上で、(6) 帰国児童のバイリンガル能力の保持、伸長について、バイリテラシーという観点から、その特徴、問題点を考察した。 2.【バイリンガル児童の言語保持、伸長に関する個別調査の実施】インタビュー方式による読解力査定:9名の帰国児童(7-12歳)を対象とした読解力査定を縦断的に実施した。音声、及び映像データは文字化した上で、Developmental Reading Assessmentを中心にして、Gray Oral Reading Test、ナラティブ評価に有効とされるリテリング等を使用し、分析する。評価項目は、音読速度、読みの活動に対する態度と傾向、読解ストラテジー、内容の理解と解釈、読書に対する自己評価などである。 3.【課題分析のための基礎資料の作成】次年度以降の分析、研究に備え、インタビュー調査の音声データ、及び映像データの文字化を行い、基礎資料を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
20名の帰国児童(7-12歳)を対象とした読解力査定を計画していたが、現在のところ、得られた調査協力者数は、その半数弱にとどまっている。文献等の収集、分析についても、この分野についての論文が限られており、関連書籍も少ないことから、未だ不十分な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 平成24年度に引き続き、帰国児童を対象とした読解力査定を継続して行う。2年目は特に、物語を「部分」ではなく、「全体」を通して読む姿勢、つまり、作品全体をどのように読み、把握するかという能力を考察する。調査にあたっては、背景の異なる被験者の読解能力を、データ収集時に正確に測定し、その後の推移を追跡調査する方法を採る。調査は定期的に実施し(24ヶ月の間に12セッション)、児童の言語使用状況、中でも日常的に行われる「読み」「書き」の活動の質・量に照らし合わせ、分析を行う。さらに、コンコーダンサーを含むコーパスソフト(wordsmith)を使用し、語彙の多様性や構文の複雑性、文法の正確さなどを測定し、統計的に分析する。 (2) 質問紙調査・面接調査・フィールドワーク:保護者及び指導者への質問紙調査、面接調査、家庭や教育機関におけるフィールドワークにより、帰国児童の言語環境を調査し、家庭や学校、その他の教育機関における両言語の使用状況や学習状況を多角的な視座をもって把握する。読書習慣など、両言語を用いた「読み」「書き」の活動がどの程度行われているかについても、定期的に調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1 物品費 406,867円 平成24年度において購入できなかった、文献、書籍、物品費等(206,867円)を含む。 2 旅費 500,000円 3 人件費・謝礼 350,000円 平成24年度において使用しなかった、調査協力者に対する謝礼(200,000円)を含む。 4 その他 50,000円
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