研究課題/領域番号 |
24520589
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
谷口 正昭 静岡産業大学, 情報学部, 准教授 (60533213)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 帰国児童 / 言語保持 / バイリンガル / 読解力 |
研究実績の概要 |
平成26年に実施した研究の概要は、以下である(3か年計画の3年目)。 1. 【文献研究】平成24、25年度に引き続き、参考文献及び先行研究の調査・収集により、バイリンガル児童の言語習得の概要をまとめた。本研究の対象である「帰国児童」を取り巻く社会環境を概観し、帰国児童を対象とする言語教育について現状把握をした上で、バイリテラシーという観点から、児童のバイリンガル能力の保持及び伸長について、その特徴を考察した。 2. 【読解力査定の実施及び分析】平成24、25年度に引き続き、13名の帰国児童(8-14歳)を対象とした読解力査定を縦断的に行い、その結果を分析した。得られた言語資料から、音読速度、読みの活動に対する態度と傾向、読解ストラテジー、内容の理解と解釈、読書に対する自己評価といった項目を評価した。また、コンコーダンサーを含むコーパスソフト(wordsmith)を使用し、語彙の多様性や構文の複雑性、文法の正確さなどを測定し、統計的に分析した。 3. 【質問紙調査・面接調査・フィールドワーク】保護者、及び指導者への質問紙調査、面接調査、家庭や教育機関におけるフィールドワークにより、帰国児童の言語環境を調査し、家庭や学校、その他の教育機関における両言語の使用状況や学習状況についてまとめた。 4. 【研究成果の公表】 これまでの研究結果の一部をまとめ、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に生じた調査者の不足、変更による調査回数の不足はある程度改善されたが、調査協力家庭の海外転勤や中学受験準備といった諸般の事情から、調査の中断を余儀なくされ、遅れが生じた。また、平成26年度は、帰国児童の受け入れ校、及び帰国児童の在籍する一般校を訪問し、帰国児童に対してどのような支援が行われているかを視察した上で、助言を行い、勉強会、研究会等の開催を予定していたが、調査の遅れから、翌年度に延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
【研究成果の公表、還元】今後は、研究成果を学会等で発表するとともに、海外においても成果を公にしていく予定である。研究成果は、国内の教育機関に学ぶ帰国児童、及びその保護者をはじめ、帰国児童教育に携わる教育者に還元すべく、論文や書籍として公表する。また、帰国児童の教育に携わる機関に対して助言を行い、勉強会、研究会、シンポジウム等の開催を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 文献、図書の未購入→ 帰国児童の言語教育は、母語教育とも外国語教育とも異なり、学際的な視座をもって取り組むべき新たな領域であるため、文献や図書の検索に時間を要する。平成27年度に、必要に応じて、計画的な購入を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
2. 研究課題に関するシンポジウム、勉強会、研究会の開催→ 調査の遅れから、平成26年度の開催が困難であった。平成27年度に実施する。
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