研究課題/領域番号 |
24520597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北文教大学短期大学部 |
研究代表者 |
後藤 典子 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (50369295)
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研究分担者 |
澤 恩嬉 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (50389699)
三瓶 典子 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60537760)
齋藤 美穂 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70537761)
山上 龍子 東北文教大学短期大学部, その他部局等, その他 (90461722)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地域語 / 介護現場 / ポライトネス・ストラテジー / 中国 / 韓国 |
研究概要 |
地域語はポライトネスや配慮を効果的に表現するツールであり、外国人介護士にとっては地域語を含めた介護ポライトネスを正しく理解することが誤解を避け質の高い介護を行うためにも肝要であることから、介護ポライトネス・ストラテジーを中心とした地域語表現の整理分析を行うのが本研究の目的である。 今年度は、まずBrown & Levinson のポライトネス理論を基に、介護の場面に現れるポライトネス・ストラテジーを抽出しようと試みた。当初は、介護ポライトネス・ストラテジーをカテゴリー名にして地域語表現を分類し、カテゴリー名で検索できるような教材をイメージしていた。しかし、ポライトネス・ストラテジーは、分類のカテゴリーを示すというより、ポライトネスの方向性の軸として捉え、介護現場のポライトネスや待遇表現の特徴を明らかにする際の指針として使用すべきであるという考えに至った。 そこで、まず、異文化感の基になるものが、ポライトネス・ストラテジーや、言語表現の特徴とどう関わるかをみるため、現地の介護施設で働く介護士へのアンケートを作成し行うことにした。アンケート項目は、Brown & Levinson のポライトネス・ストラテジーに沿って作成した。調査は中国吉林市の吉林市社会福利院および吉林市東浩老年康復護理院と、韓国ソウル市の区立松波老人療養センターで行い、現在アンケートを回収および翻訳中である。 体の不調・不快を訴える地域語表現については、山形県立中央病院の看護師にアンケート調査を行った。現在分析中だが、体の部位、痛みを表す形容詞、動詞、オノマトペなど語彙レベルのもの、痛みや苦痛の原因となった状況説明のように、文レベルで表現されるもの(音変化や地域語文法)などがあった。アンケートのフェイスシートからは、山形市内の病院でありながら、看護師の出身地や患者の出身地により複雑な地域語の実態が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中国、韓国との関係悪化により、初めて訪問する施設で、介護の様子を詳しくインタビューすることは困難があった。訪問自体も、当初9月~10月を予定していたが、折悪しく関係が悪化し、先方からも時期を待ったほうが良いのではとの情報もあり、調査は延期せざるを得なかった。当初は、インタビューでポライトネス・ストラテジーを軸とした言語表現を抽出しようと考えていたが、受け入れ施設や施設スタッフの反日感情などを考えると、一足飛びにインタビューではなく、見学や説明を聞くことでこちらの真意を伝え協力を求め、アンケートの依頼をするという段階を経る必要があった。また、授業や入学試験がある時期に、研究分担者が一同に調査のための日程をとることもむずかしく、3月の年度末の短期間に調査を行わざるを得なかった。 しかし、3月に中国、韓国の施設を訪問し、アンケートを依頼し、その結果に基づき今年度インタビューを行えるように依頼してきたので、研究に大きな支障は来さず進めていけると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
介護ポライトネス・ストラテジーを軸とした異文化感については、平成25年度に引き続き現地においてインタビュー調査を行い、同じ配慮(ポライトネスストラテジー)でも、国によって言語表現の違いから、他言語に転換して考える際に誤解を生じさせる可能性について、より具体的な分析を行いたい。 体の不調・不快を訴える表現については、検索を目的として分類する方法を探っているが、実際に使用されている表現としてアンケートで得られた地域語を、訴えの種類、体の部位、痛みや不快を表す形容詞、動詞、オノマトペ、また頻度の高い音変化した地域語などの項目でコーディングを行っているが、継続してそれを行いデータベース化したい。 介護の地域語一般のデータについては、これも検索を目的としてデータベースを作成するか、小さい目的ごとのアプリのような形で使いやすさを考えたものを目指したいと考えている。その際、利用者の地域語を聞いて理解する目的や、地域語を使用し、利用者と近づくことを目的にしたもの、また、介護士同士のコミュニケーションに役立つ地域語の理解や使用を目的にしたもの、地域語語彙辞典のようなものなど、必要とされるものからまとめていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
中国、韓国の介護施設での調査に関しては、関係構築とアンケート依頼を3月に行ったが、それを基にしたインタビュー調査のため今年度未使用となった126万円を使用し再度中国と韓国の介護施設を訪問し、インタビュー調査を行いたい。中国出張(インタビュー)25万円×3人=75万円韓国出張(インタビュー)17万円×3人=51万円、計126万円 また、今年度分50万円については以下のような形で使用したいと考えている。物品費(関連書籍等)5万円、旅費(成果発表等)15万円、人件費・謝金25万円、その他(通信費等)5万円、計50万円
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