研究課題/領域番号 |
24520598
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研究機関 | 大妻女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
中尾 桂子 大妻女子大学短期大学部, 国文科, 准教授 (20419485)
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研究分担者 |
田中 信之 富山大学, 国際交流センター, 准教授 (80288331)
福岡 寿美子 流通科学大学, 商学部, 教授 (60330487)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は, <A>「活動形態」と<B>「学習者タイプ」の違いにおける,ピア活動実施後の学生の意識,評価点向上の条件,これらの関係を調べることが目的である。ここで言う<A>「活動形態」とは,対面方式,非対面方式でのピア・レスポンスのことで,<B>「学習者タイプ」とは留学生,日本人学生,混在(留学生と日本人学生)を指す。 25年度前期は, 留日2タイプ<B>の対面式ピア・レスポンス,留日2タイプ<B>の非対面ピア・レスポンスを実施し,各々を担当する研究分担者が分析して,結果を研究会で発表し,広く意見を求めた。後期も,前期同様のコースデザインで,留日2タイプのクラスで,対面,非対面の授業実践を行い,その実践について,条件,利点,問題点を考察した。 25年度末には,原田三千代氏(桜美林大学非常勤講師)を召いて,担当者による実践報告会を開催し,実践結果とその分析に関して意見を交換した。 この他に,研究代表者は,文の結束性判断の観点を用いた場合の,コレスポンデンス分析,クラスター分析の有効性,ならびに,パタン抽出の方法を検討し,夏期と学期末に開催された言語統計処理法を考える研究会で発表して有識者の意見を求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
<A>「活動形態」と<B>「学習者タイプ」の異なるクラスでのピア・レスポンス実践を3年に渡って記録し,ピア活動内での学生の「指摘」と「同意」行動の出現パタンを調べ,それらが成績評価に影響する部分を確認するのが2年目以降の本研究での課題であるが,多変量解析の手法を決定するためのケース別の分析がやや遅れ気味である。 現時点では,いくつかの多変量解析手法を利用したケーススタディーから,ミックスメソッドで分析することを考えている。ミックスするものは,学習者の意識変化を質的に分析した結果,量的な統計的記述分析,従来の成績評価の3つの分析結果を総合する予定である。 ただし,どの手法を利用して結果を出すかの検討が,それぞれの部分でまだ決定していない。まず,学生の意識変化の分析手法としては,TAEとPAC分析のどちらを利用するかの考察が済んでいない。また,記述分析における統計手法としては,再帰的な自動分類が可能なクラスター分析の一種,「決定木」を考えているが,その分析の変数を十分考察していない。これらは最終学期のピア実践の開始前までに検討する。 これら手法に対する検討後に総合判断の手法が全て決まり,それを利用して,H26年度後期授業終了後の1月後半から,学習者別,タイプ別のピア・レスポンスのそれぞれの場合で,成績評価と最も関係が深い要因を明らかにすることで,本研究の成果としてまとめる計画である。
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今後の研究の推進方策 |
26年度も,これまで同様,クラスの種類別にピア・レスポンス活動を実施し,それらの結果をデータ化していく。また,手法についても考察を積み重ねていく。これらは,都度,協働教育実践研究会所属の研究者らや,言語統計に関する共同研究の場を借りて意見交換を行い,考察を整理しておく。その成果は,国内外の日本語教育関連の学会,研究会で報告し,他の研究者からコメントをもらうことで,研究の動向を修正していく考えである。 24年度の実践,授業分析,それらへの考察を,25年度にいくつか研究会等で報告したが,それらをそれぞれの年度別に報告書にまとめておき,26年度に学会や研究会で行なう報告と合わせて,3年間の成果の総報告書として,26年度末にまとめる。現在,研究分担者,研究協力者からの執筆予定原稿の提示に基づき,報告書費用の見積もりを出しているところである。
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