研究課題/領域番号 |
24520601
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小嶋 英夫 弘前大学, 教育学部, 教授 (30310981)
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キーワード | 英語教師教育 / 専門職能 / 自律的成長 / 省察的ポートフォリオ |
研究概要 |
平成25年度は、本研究の2年目として、初年度の実践・研究成果を持続・発展させることができるように、学内・外での教育活動に意欲的に取り組んだ。「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上」(中央教育審議会答申,2012)の実践に向けて、学部と大学院の英語科教育科目について、これまでの内容、方法を見直し、学生の主体的な学びの継続が、段階的な成長につながるように配慮した。また、本年度は特に県内の現職英語教員、生徒、一般の方を対象とする研修会、講演会、シンポジウムに、講師あるいはコーディネーターとして参加する機会が多かった。小学校から大学までの教育現場において、今日英語指導者と英語学習者のいずれの側も複雑で深刻な問題を抱えており、その解決のために大学英語教員、教師教育者としてどのようにあるべきかを再認識させられた。さらに、昨年度と同様にできるだけ全国的・国際的な学会で、研究発表、シンポジウム、フォーラムを行い、研究成果の発表とともに参加者同士の情報・意見交換に努め、研究資料の収集を心がけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に収集した国内・外における最新の教員養成教育、現職教員教育の現状と新たな方向性に関する情報に基づき、自らの教師教育に関する視座を固めつつ、大学内のみならず学外での研修会や学会で積極的に活動してきている。学内では、省察的ポートフォリオを活用した学部の授業と教育実習を年間を通じて行い、対象学生と協働的に省察・討議した。また大学院では、CLIL(Content and Language Integrated Learning)的アプローチを現職英語教員との協働で開発し、高校の英語授業で実践し、アクションリサーチ的に研究した。加えて、国際バカロレアプログラムの研究も協働で継続している。こうした本研究者個人の授業を学内のFD活動に反映させ、アクティブラーニングとの関連で2回にわたり他学部の教員を含む全体の場で紹介できた。青森県内の現職英語教員、生徒、一般人を対象とする研修会、シンポジウム、ラジオ番組等でも計7回にわたり講師、コーディネーターを務め、自らの教育実践を踏まえて新しい英語教育の方向性を示唆することができた。学会活動については、1) フィンランドの教育に関する調査研究の開始、2) 大学英語教育学会東北支部大会及び国際大会でのシンポジウムの開催、3) JALT国際大会及びLearner Development 研究会20周年記念大会でのフォーラムの開催、4) 日本教育大学協会研究集会における大学院生の専門的成長に関する研究発表、5) 香港教育学院Phil Benson氏、ウオーリック大学Richard Smith氏との会談等を連続的に行い、本研究を持続的に発展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
教師の成長のための省察ツールとして、『言語教師のポートフォリオ』(JCET教育問題研究会編)も完成しており、今後は大学学部・大学院での教師教育プログラム、現職教員研修等を通して、本研究者自身の省察的ポートフォリオを理論的・実践的に充実させたい。これと同時に、昨年12月に文部科学省から「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」が出されたことを踏まえて、小学校から大学までの英語教育の一貫性の視点から、日本の英語教育全体を考究する必要がある。この改革が今後の教師教育の在り方と連動するためである。これと合わせて国際バカロレアプログラムについての研究を持続し、それなりのまとめをしたい。本研究の発展に資するために、国内外での学会活動はこれまで通り積極的に取り組むが、6月には東北の「大学英語教育の現状と今後の方向性」に関するシンポジウムをすでに企画している。さらに、本研究者を執筆者の一人とする複数の書籍刊行が計画されており、その出版に向けて最終段階まで協働作業を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は本研究2年目であった。次年度としては、大学学部・大学院での教師教育プログラム、現職教員研修等を通して、本研究者自身の省察的ポートフォリオを理論的・実践的に充実させたい。これと同時に、文部科学省の英語教育改革実施計画を踏まえて、小学校から大学までの英語教育の一貫性の視点から、日本の英語教育全体を考究する必要がある。この改革が今後の教師教育の在り方と連動するためである。これと合わせて国際バカロレアプログラムについての研究を持続し、それなりのまとめをしたい。本研究の発展に資するために、国内外での学会活動はこれまで通り積極的に取り組むが、6月には東北の「大学英語教育の現状と今後の方向性」に関するシンポジウムをすでに企画している。さらに、本研究者を執筆者の一人とする複数の書籍刊行が計画されており、その出版に向けて最終段階まで協働作業を継続する。 未使用の研究費166,942円が生じた理由としては、訪問予定であった英国・ウオーリック大学からRichard Smith氏が来日したこと、同様にフィンランド・タンペレ大学のRiita Jaatinen氏も、平成26年4月に来日することになったためである。ただし、Jaatinen氏とはフィンランドではなく東京で会談するために上京する必要があり、また平成26年8月にオーストラリアで開催される世界応用言語学会参加のためにも、年度当初から科研費の使用が見込まれる。次年度は、当初の旅費に上記の金額を上乗せし、国内外における調査研究の内容を充実させたいと考えている。
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