平成27年度は、科研費による本研究の最終年度として、教員養成教育、現職教員教育における教育実践、あるいは国内外での調査を通じて蓄積してきた研究成果をまとめあげ、全国・国際レベルの学会で発表し、学会誌等にも論文として掲載された。ポートフォリオ に関しては、教員養成教育全体に徐々に浸透し、紙媒体のポートフォリオのみならずeポートフォリオも登場してきている。大学の一般教育レベルの英語教育においても、個人的あるいは組織的にポートフォリオを活かした実践例が出始めている。しかるに、英語教員養成に特化した実践例は必ずしも多くはない。言語教員志望生のためのEuropean Language Portfolio(EPOSTL)の日本版J-POSTLEを試しに用いた事例発表は増えてきたが、教育学部英語専修における日々の実践に即したポートフォリオの開発例は少ない。数年間にわたる本実践研究では、英語教員志望生の協働的・自律的・省察的成長のために、ポートフォリオの継続的活用が効果的であったとの結論を得た。本研究は、英語教員の個人的・組織的教育力の向上と日本の文化的・社会的・教育的コンテクストに適った専門的成長モデルの構築につながると思われる。このことは、海外での研究大会で本研究の成果が認められ、外国の教師教育者たちから共感を持って受け入れられたことが示唆している。今後とも日本での研究成果を海外に向けて発信することを心がけ、世界の教師教育の発展に貢献できる研究を継続する必要があると理解される。
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