研究課題/領域番号 |
24520604
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
滝沢 雄一 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (00332049)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 英語教育 / 教員養成 / 言語教師認知 |
研究実績の概要 |
本研究は、第二言語教師教育研究における教師認知研究の動向を踏まえ、主に(1)英語科教員養成段階にある学生による授業計画の作成は、どのような信条に基づいて行われるのか、(2)その信条の形成に影響を与える過去の学習者としての経験、教育実習、講義経験はどのようなものか、(3)講義や教育実習を通じてその信条がどのように変容するかを、質的研究方法により明らかにすることを目的とする。 26年度においては、上記の目的に沿って24、25年度に収集したデータについての詳細な分析が主な実績である。具体的には質問紙の結果分析とともに、主としてインタビュー、講義時の振り返りシートにより収集されたデータを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析を行った。その結果、(1) 学習者経験の影響を受けて形成された授業観と方向性が一致する講義内容が指導計画に応用されている、(2)授業観・指導観と必ずしも一致しない、経験していない興味・関心を持った講義内容は受容されている、(3)具体的なイメージを十分に伴わない知識は、実際に実践に応用されるに至っていない、(4)継続的に維持される授業観がある一方で、変容する部分も見られる、(5)講義内容は教育実習経験の省察を促し、実習中に得た具体的なイメージと講義で得た知識と統合させ理解を深化させている、(6)講義内容は学習者経験の省察を促し、講義で得た知識を利用しながら、経験を再解釈していることなどが明らかとなった。これらの結果を第40回全国英語教育学会徳島研究大会にて発表した。一方、データから得られた結果が非常に複雑であるため、さらなる分析・考察を行い、それぞれの特徴の相互の関係を整理した上で、理論(モデル)化を試みる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度においては24、25年度に収集したデータを総合し詳細な分析を行い、その結果から、学習者の経験、教育実習、講義等の影響について、それぞれの特徴および相互の関係を整理し、理論(モデル)化を試みる予定であったが、データから得られた結果が予想以上に複雑であり十分な分析・考察が行えておらず、成果のまとめに至っていない。計画を変更し、継続してより詳細な分析を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
27年度においては24、25年度に収集したデータについて26年度からの分析を継続し、より詳細な分析・検討を行い、その結果から、学習者の経験、教育実習、講義等の影響について、それぞれの特徴および相互の関係を整理し、理論(モデル)化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度においては、成果のまとめに至らなかったこともあり、旅費等成果発表に関わる経費、および謝金について必要額が当初の計画より下回ったため、残額があった。
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次年度使用額の使用計画 |
これら残額については、27年度のより詳細な分析の実施、そのために必要となる学会等における資料収集、および成果の発表、論文執筆等のための経費に充てる予定である。
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