研究課題/領域番号 |
24520618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩居 弘樹 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (20213267)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音声認識 / ドイツ語 / 発音練習 / アクティブラーニング / モバイル端末 / 自主学習 |
研究概要 |
今年度は、担当するドイツ語初級クラスにおける授業実践の中で、モバイル端末の音声認識システムを用いた発音学習・発音指導を行うための基礎データを収集した。特にドイツ語初学者に関しては日本語話者特有の誤認識パターンが明確になり、従来日本語話者が不得手だとされてきた発音以外にも重点的に練習・指導すべきポイントも明らかになった。またこれらのポイントについては、教員の適切な指導で発音の修正ができるだけでなく、学習者自身の試行と考察により改善されるというケースも多数見られた。 モバイル端末やアプリの使用法については、スマートフォン所有者が学生の9割近くになっており問題は見られなくなっている。教室内の環境音や発音練習の際の声量などが音声認識に与える影響についても顕著な問題は生じなかった。むしろ、様々な制限のかかったネットワーク環境が音声認識サービスなどの利用を妨げるケースがみられ、学校現場の教室環境整備に関する課題が浮き彫りになった。 今年度の授業実践で顕著だったのは、学生のモティベーションの変化である。従来は授業中に声を出す機会も少なく発音の個別指導などは時間の関係で不可能だったが、音声認識アプリの導入で、学生が自主的に、授業外でも積極的かつ長時間にわたり発音練習をするようになった。とりわけ、合成音声(Text to Speech)アプリとの併用で、学生の自主学生の可能性が広がったと考えられる。 本年度は外国語教育メディア学会、PCカンファレンス、語学教育エキスポなどで、当該研究についての経過報告やを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画で提示していた<予備実験と基礎データの収集>はほぼ実施できているが、ドイツ語教員の経験値に基づく発音指導法の調査については完了していない。 しかし、授業実践を通して、モバイル端末で音声認識アプリを利用した学習法が、学生の第2外国語を学ぶモティベーションを上げる効果が大きいことが明確になったこと、および教室ネットワーク環境の整備についての課題が明らかになったことなど、当初計画の想定以上の成果が現れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き授業実践を通して、日本人話者が音声認識アプリを使用した際の認識結果に関する基礎データの収集する。これに加えて、発音個別指導の成果や発音の改善傾向、学習者自身の創意工夫による成果に関しても随時データを収集する。 これらのデータの分析結果や授業現場での経験を基にドイツ語発音ナビゲーターを試作する。 また、当初の研究計画にはないが、初年度に顕著に現れた学習者のモティベーションの向上、第2外国語クラス活性化への効果、学習成果への影響などについても授業実践の中で調査を行う。 さらに、小学校での外国語活動や中学高校での外国語教育の現状とモバイル端末、音声認識アプリ活用の可能性などについても調査を行い、可能ならば現場での実験授業を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
< 物品費>データ整理・分析用および実験用教材作成用のPC、および実験用モバイル端末を5~10台を追加購入。 <旅費>さまざまな教育現場でのモバイル端末活用事例、外国語教育活動での応用事例の調査及び学会研究会等での研究成果の報告の実施。 <人件費>収集されたデータの整理および授業実践補助。
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