音声認識システムを利用した発音練習結果1650サンプルを収集し、前年度までの研究成果を参考にしながら分析を行った。分析結果から、ドイツ語初学者でも正しく発音できるパターンと不得手とするパターンが具体的に明らかになり、不得手とする部分についても適切に指導することで修正できるケースが多数あることが明らかとなった。発音トレーニングナビゲーターの構築には至らなかったが、机間巡視の際に発音のポイントを指摘することで学習者自身が問題点を考え発声器官に意識を向け、調整しながら発音を改善していく様子が、授業実践の中で確認できた。このことは発音練習成果の分析データからも読み取ることができる。 また、30分ほどの発音練習時間内に課題文を声に出して練習した回数、声に出した語数なども、数値で示すことが可能になり、学習者個々人の学習活動の推移も把握できるようになった。あわせて、音声認識アプリを活用した発音練習が、1年間を通して一定レベルの練習密度を維持していることも明らかになった。例えば声に出した回数は平均50回から70回で、中には180回以上繰り返し練習している学生もいた。語数に換算すると平均300語から500語、最大1000語以上となっている。 音声認識システムを利用した発音練習とオンライン・テキストデータベースの活用、ビデオ撮影アクティビティなどの様々な学習活動を組み合わせることで、学生の能動的な学習姿勢を引き出すことができると考えられ、実際の授業の中でその可能性を確認することもできた。本研究は、従来の受動的な外国語学習ではなく、ICT機器を活用した外国語アクティブラーニングを実現するための端緒となった。
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