研究課題/領域番号 |
24520629
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
隈本 順子 大分大学, 国際教育研究センター, 教授 (60336245)
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研究分担者 |
南里 敬三 大分大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80457639)
長池 一美 大分大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90364992)
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キーワード | 異文化適応 / 異文化コミュニケーション / 留学動機 / 派遣留学 / 言語習得 / 人間関係 / 人間的成長 / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年9月から欧米の協定校に1学年留学した日本人学生の現地での人間関係の実態をアンケートとインタビューを使って、留学前・留学中・留学後の三つの時期に分け、第1回目の調査をおこなった。ただ、当初予定していたアンケート、メール、ブログ等による方法だけでは留学中の詳しい状況が把握しにくいことが分かり、25年度からは現地で学生から直接聞き取り調査を行うことにした。また、学生の視点のみではなく、彼等を支援する現地の国際交流関係者とバディも含めた学生からも聞き取り調査を行い、周囲の関係者の視点によるデータも収集した。 収集したデータはすべて文字化し、1学年に渡る学生達の人間的な成長も含めた人間関係の構築の過程を観察した。そして本人が認める留学成果によって大きく二つのグループに分け分析した。どのグループにも共通する、留学開始時の大きな課題はコミュニケーションツールとしての言語力不足であった。しかし、それをどのように克服するかは学生によって異なり、克服したグループとし、そうではないグループに分け分析した。前者のグループは周囲の人間関係を深める中で言語の習得が進み、単に言語習得に限らず、彼等自身の考え方の変遷の過程も観察され、異文化への適応力、友人関係の広さ等も認められた。それに反して、後者のグループは言語習得の不十分さだけでなく、周囲の人間とのつながりが広がっていかなった。ただ、学生の中には同じ環境で異なることもあり、どのような要因が関係してくるのかを次年度の課題とした。特に、日本人学生の性格と留学先での受入状況に焦点をあてることとした。 平成25年9月から留学を開始した第2回目の調査を前年度同様に継続している。前年度の結果に基づき性格について自己分析の項目をアンケートに追加し、現在、留学中のデータ採集と26年夏の帰国時に聞き取り調査をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
元々計画していた留学中のアンケートやメール、ブログだけではデータの質からみて十分でないことが分かった。学生が思ったほど本音を語らないからである。そのため現地で被験者との個別聞き取り調査を入れたため、大学の休暇中に調査と得られたデータの文字化、集計、分析を同時にすべて本研究員だけで行わなければならず時間を要している。また、当初、データの文字化等はアルバイトを雇う予定であったが、被験者の個人情報保護の観点からとデータの文字化には本研究員が直接関わることが必須であると理解したため、予定外に仕事量が多くなった。そのため、データ分析などに予定より若干の遅れが見られる。ただ、米国ノースキャロライナの大学の研究協力者に現地でのインタビュー調査を依頼したりして効率化には努めている。 学会等での報告は間に合わなかったが、本研究に関わるコメント・フィードバックの目的で、協定校を訪問した際に関係者たちと研究セミナーを持ち非公式な形での中間発表を行い、そのコメントは貴重な資料となっている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の夏には派遣留学生が帰国して第2回目のデータ収集が完了するが、その解析を行う予定である。そして、第1回目のデータと合わせて総合的な分析を行う予定である。まず、第1回目のデータを中心にまとめ、8月に欧州の日本語教育連絡会議で口頭発表が既に決まっていて、関係者からのコメント・フィードバックを得る予定である。その後、その口頭発表を発展させ論文作成をし、国内外に発表する予定である。最後に、派遣第1回目と第2回目の総合的なデータに基づいて、課題も含めまとめて論文として発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は科研最後の年になり、海外の会議に参加する旅費が当初より多くなることが予想されたため 当該年度内の予算をきりつめ、次年度に回すことに決めたためである。 米国サンディエゴ市で開催されるNAFSA会議は世界的な国際教育の大会議であるが、NAFSA会議で研究分野の最新情報を収集し、米国協定校の国際交流関係者(本学の日本人学生が留学するサンフランシスコ州立大学とノースキャロライナ州立大学)と会い、聞き取り調査を行う予定である。次年度使用額はその旅費にあてる予定である。
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