本研究の目的は、非ネイティブ同士(日本人同士)のインタラクションが、ネイティブと非ネイティブ(日本人と英語母国語話者)とどのように異なるかを明らかにすることであった。ディスカッションの参加者が日本人同士の場合は、相手が言わんとすることを察することができるため、英語をあまり使わなくても、意思疎通ができてしまう。一方、ディスカッションの相手が異文化を持っている場合は、英語をたくさん使わなければ、意思疎通が難しい。このような文化的な差によって、日本人同士のディスカッションでは、日本人と異文化の人とのディスカッションよりも、インタラクションが不活発になるという仮説を立てた。 24年度のデータの分析では、異文化の相手とのディスカッションのほうが、インタラクションが活発になるという結論を得たが、25年度のデータの分析では、自文化の相手とのディスカッションと異文化の相手とのディスカッションにおいて、有意な差を見出すことができなかった。このような結果になったには色々な要因が考えられるという結論となった。 研究結果としては、満足のいくものではなかったが、研究成果のアウトリーチの点では、十分できたと考えている。本研究で採用したビデオ会議を使った英語の異文化交流を各方面で紹介した。島根県立浜田高校で6回、120人に対して、体験授業を行った。また、本務校のオープンキャンパスにおいて、島根県内の高校生に対して体験授業をした。さらに、本務校の公開講座で、一般市民向けにビデオ会議を使った異文化交流について紹介する講義を行った。これらのアウトリーチ活動のアンケートでは、ビデオ会議を使った英語による異文化交流の意義を評価する返答を得た。 また、研究成果は国際学会、国内学会、本務校で開催したシンポジウムにおいて、研究者らに発表した。
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