研究課題/領域番号 |
24520642
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
飯塚 秀樹 自治医科大学, 看護学部, 講師 (90617466)
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キーワード | 逐次通訳 / シャドーイング / リプロダクション / プロソディー |
研究概要 |
本研究の核となる指導法 Consecutive Interpreting Approach の効果・汎用性を高めるための手段として、当該年度は、1)ELEC(英語教育協議会)夏期英語教育研修会(文部科学省後援)、2)千葉県立千葉商業高等学校、3)栃木県立小山西高等学校、4)神奈川県立厚木商業高等学校の4つの教育機関・学校で講演を行った。 2011年度のELEC賞受賞により本アプローチの認知度が高まり、これらはすべて招待講演となった。特に、3)の栃木県立小山西高等学校における講演では、参加者が総勢500名以上となり、今後の共同研究につながる手応えのある講演会となった。 また、当該年度は2つの学会で研究発表を行い、第14回日本通訳翻訳学会年次大会では「Consecutive Interpreting Approach に基づく英語指導法の実際-その具体的効果と学生による授業評価から-」、第19回日英・英語教育学会研究大会では「Consecutive Interpreting Approach に基づく外国語指導法とその効果・汎用性についての考察」という題目で発表を行った。さらに、関東地区の看護系大学における英語科教員で組織する会合においても本アプローチに基づく発表を行い、参加された先生方と強固な研究基盤を形成する運びとなった。 当該年度で特筆すべきことは、これらの活動が、日本医学英語教育学会発行のジャーナルで論文として出版されたこと(タイトル:An application of the Consecutive Interpreting Approach to English for medical purposes)、また本学における「学生による授業評価」で、本アプローチによる授業は、4点満点中3.65点という高評価を受けたことと言える。特に学生からの評価は大きな励みとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本アプローチに基づく研究論文がELEC賞を受賞したことにより、当初の研究計画を超える合計10の教育・研究機関で、デモ授業・講演を実践することができた。自身が今年度も講師を務めるELEC夏期英語教育研修会では、全国から先生方が参加するため、実際には10以上の学校へ本アプローチによる授業を浸透させることが可能となるであろう。また、これらの活動が、日本医学英語教育学会発行の「Journal of Medical English Education」February 2014, Vol.13 No.1 において “An application of the Consecutive Interpreting Approach to English for medical purposes (EMP)” というタイトルで論文として出版されたため、本研究の研究成果はより多くの研究者・教員・学生に還元されていくであろう。先にも示したが、本アプローチに基づく授業は、本学のFaculty Development の一環として行われる「学生による授業評価」において4点満点中3.65点という高評価を受けており、本研究は机上で完結してしまうだけの研究ではなく、これからの日本を担う学生達に、音声言語の獲得法を十分に示すことができたのではと手応えを感じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本研究の研究成果を、さらに多くの教員・学生達に還元するために、昨年度に引き続き、デモ授業・講演・研究発表・論文作成などを積極的に実施する。特に、ELEC夏期英語教育研修会で出会う先生方の学校をすべて訪問し、デモ授業を展開するなど、現場を意識した研究をより精力的に展開したい。 また、本アプローチをより発展させるために、海外の研究者との連携を深めることを計画している。その一環として、BAAL (British Association for Applied Linguistics) Conference 2014、及び JALT (The Japan Association for Language Teaching) Annual Conference(共に研究発表案採択済み)での研究発表を実施する。 平成25年(2013年)6月に閣議決定された「教育振興基本計画」(文科省)では、英語教員に求められる英語力の目標を「英検準1級程度以上」「TOEIC730点程度以上」とし、2017年度までに、その取得者割合が中学で50%、高校で75%になることを目指している。従って、本アプローチが、学生だけでなく、英語教師の英語力をも高められるように発展形を探る研究を継続し、最終的に本研究の研究成果の書籍化を試みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本学の国際交流活動の一環として、昨年度8月ブータンへの学生引率を実施した。そのため予定していた国際学会への参加ができず、次年度使用額が0よりも大きくなってしまった。 今年度は、口頭発表要旨がBAAL(British Association of Applied Linguistics)国際学会で採択されたため、9月に渡英予定である。また Japan Association of Language Teachers の国際学会でも発表するため、茨城県つくば市に赴く。その他の国際・国内学会にも積極的に参加し、外国語・第二言語習得理論の最新の動向を探りたい。 また、本研究の核となる Consecutive Interpreting Approach を用いたデモ授業をさらに多くの学校・教育機関で展開し、指導法や学習法で悩む教員・学生の役に立つことができるよう、有意義に研究費を使用する。
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