研究実績の概要 |
学習環境下の脳活動計測とその結果に基づく学習過程の解明や教授法の開発が検討されつつある。近年,外国語習得過程における脳機能の検討も行われている。 Broca野は言語野の一つである.第二言語 (L2) 習得への関与も示唆されている.NIRS (near infra-red spectroscopy) を用いL2習得過程におけるBroca野の活動を計測し,教育への応用について検討した.韓国語知識ゼロの日本語母語話者を対象に韓国語授業を実施した.韓国語授業終了1週間後と3週間後の2回,韓国語と日本語の行動実験と脳機能計測 (J課題, K課題) を実施した.2回目実施前に韓国語の復習を実施しL2習得過程の状態を実験的に作った.結果,K課題遂行時のBroca野近傍の脳活動は左半球優位であった.行動実験と日韓両言語の統語的分析から,本結果は文法に関与する脳活動であると考えられた.J課題左半球は試行回による差がみられなかった.一方,K課題左半球は1回目に比し2回目の左半球の賦活が有意に強かった.K課題における左半球の違いはL2習得過程を反映していると考えられた.脳機能計測結果に基づくL2習得の評価や習得過程のモデル化など教育への応用が期待される.
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