本研究の目的は、第二言語習得(外国語習得を含む)における学習者のストレスが、その習得の成果にいかにかかわるかを検証することにある。具体的には以下の2点を主目的とする。①今まで第二言語習得分野では使用されることのなかったストレスの測定法として、人間の生理的反応の側面からコーチゾル値を用い、それが第二言語習得研究においても有益かつ有効な手段であることを示す。②実際にコーチゾル値測定による実験を行い、学習者のストレスと第二言語習得の成果との関係を検証する。 平成26年度は研究最終年にあたり、本実験で収集されたデータの解析、解釈、及び結論を導く作業が行われた。また本年度は研究結果の発表時期でもあり、本研究の成果を応用言語学の各学会において発表する機会を得た。また、成果の一部に関して、論文を執筆し、査読付き学術誌への投稿を済ませ、是非の判断を仰いでいるところである。 最終的に得られた研究成果の要点は以下である。英語科目履修者に関しては、コーチゾル値をストレスの操作上の定義とした場合、ストレスが、学習成果に負の影響を及ぼすことが認められた。同時に、第二言語習得分野では、これまで使用されることのなかった毛髪検査によるコーチゾル値測定の実行可能性が確認された。また、生理学的測定と自己申告測定とには違いがあることも検証された。
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