研究概要 |
本研究では、特に第二言語学習者の音声語彙を「言語流暢性検査」という言語発達・認知を検査する神経心理学手法を用い、語彙生成のための音韻・カテゴリーという2つの語想起課題を施行することで検証を試みた。第二言語学習者にとって、4技能の総合的習得が向上への鍵であり、その習得過程で中核的な役割を果たすものは語彙知識であると言われている。この語彙運用能力を検査する言語流暢性という検査方法は神経心理学において、臨床現場(Bolla,1990)や小児語彙発達(村井、2004)を検査する方法として、国内外と問わず広く使用されている(Benton,1983,伊藤、他,2004)。今までは、臨床現場での使用が中心であった検査法ではあるが、言語発達測定に使用できるという観点から、第二言語学習者への語彙生成の分析に応用可能であると示唆し、実施を試みてきている。また、詳細の課題としては、音韻流暢性課題とカテゴリー流暢性課題という、2つの語想起課題から成り、この2つの課題を比較しながら、第二言語学習者と母語話者の音声語彙の生成を量的・質的両側面から分析する。研究目的は、第二言語学習者と母語話者間で口語語彙生成に異なる特徴性があるかを語彙生成数と生成パターンの面から分析し、さらに生成語彙の質的相違の側面から内在語彙の種類や親密度、生成方法のプロセスを検討することにある。学習者にとって効果的な語彙知識の習得を提示し、今後、第二言語学習法や指導法の開発を試みる。
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