研究課題
本研究において、特に音声語彙を「言語流暢性検査」という言語発達・認知を検査する神経心理学手法を用い、語彙生成のための音韻・カテゴリーという2つの語想起課題を施行した。研究目的は、第二言語学習者と母語話者間で口語語彙生成に異なる特徴性があるかを語彙生成数と生成パターンの面から分析し、さらに生成語彙の質的相違の側面から内在語彙の種類や親密度、生成方法のプロセスを検討した。この検査方法は神経心理学において、臨床現場や小児語彙発達を検査する方法として、国内外と問わず広く使用され、今までは、臨床現場での使用が中心であったが、言語発達測定に使用できるという観点から、第二言語学習者への語彙生成の分析に応用した。音韻流暢性課題とカテゴリー流暢性課題という、2つの語想起課題から成り、両者を比較しながら、第二言語学習者と母語話者の音声語彙の生成を量的・質的両側面から分析した。初年度は第二言語学習者の生成語彙・質的パターンの分析を中心に英語以外の言語との比較、母語話者、バイリンガルにおける生成語彙の分析の面では第二言語習得者と英語ネイティブの中間に相当する結果が得られた。25年度は属する単語を生成する意味記憶の効率的利用の側面と、クラスタリング(Clustering)の過程と、下位カテゴリー間を転換していくスイッチング(Switching)のコンポーネントに分けて分析した。26年度はクラスタリングとスイッチング過程により、より詳細に語彙分析を行った結果から、特定の音素の産出が見られ、それを手掛かりに生成されていることが判明した。また、音韻・カテゴリー語彙想起という特定に想起課題とは別に改訂版を開発し実施することで、語想起の仕組みを検証することが可能となった。
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