研究課題/領域番号 |
24520652
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
田口 悦男 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60255974)
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研究分担者 |
神田 明延 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10234155)
大須賀 直子 明治大学, 国際日本学部, 教授 (40514162)
メイス みよ子 聖学院大学, 基礎総合教育部, 講師 (10364829)
佐藤 明可 成蹊大学, 国際教育センター, 講師 (50468617)
竹村 雅史 北星学園大学短期大学部, 英文科, 教授 (60353215)
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キーワード | 第二言語による読み / 読みの流暢さ / 自動化理論 / 繰り返し読み / 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
本プロジェクトの目的は、自動化理論(LaBerge & Samuels, 1974; Samuels, 1994)を教育実践に応用した繰り返し読みの効果を、e-Learningシステムの特性を活用し、検証することである。2013(平成25)年度の主な目標としては、2012年度の教材テキストの編集に基づき、効果検証のためのテストを開発し、試験運用を行い、データ収集を進める予定であった。 しかしながら、テスト開発に際して、多面的に効果検証を行うため、多様なテストを開発する必要があった。そのため、その作成に多大な時間がかかり、当初予定していた開発のスケジュールに遅れが生じた。今年度の業績はテスト開発が主要となった。 今回開発したテキストは大きく2種類に分けられ、1つは本プロジェクトのために開発したまったく独自のテストで、narrative、及びexpositoryのそれぞれ6つの組み合わせの、計12編の英文のテキスト、そしてそれに付随する10問の理解度テストからなる。 今回のテスト開発では、長年の英語教授経験があり、しかも教材作成の経験も豊富なアメリカ人の英語教育の専門家に協力を依頼し、事前テスト、事後テスト、遅延テストに使用する2組ずつ、計6編のnarrative text、また、2組ずつの計6編のexpository textを開発した。この異なる2つのジャンルのテキストを作成した理由はジャンルの違いがどのように効果に現れるかを調べるためのものである。 もう一つのテストは、語彙研究で国際的に著名なニュージーランド、ビクトリア大学ウェリントン校のPaul Nation氏の語彙レベルを1000語に絞って書かれたテキスト"Asian and Pacific Speed Readings for ESL Learners"の中から6編を選び、本人の許可を得てテストとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2012(平成24)年度にはUK Macmillan社から使用許諾を得た”The Missing Madonna”をe-Learning教材として使用するために編集し、IT企業の富士通ラーニングメディア社の技術支援を得てe-Learning教材化するという作業を進め、2013(平成24年)度末までにテスト・セットの組み込みの部分を除き、ほぼ予定通りに作業を進めて来た。しかし、今年度は、多様なレベルの学習者を対象に、その効果検証を正確に行うには、多様な角度から効果検証を行う必要があり、そのためのテスト開発に予想した以上の多くの時間を要したため、当初の予定から遅れてしまった。 本プロジェクトのウェブ型Reading Fluency養成プログラムでは、管理者である研究者や教員が、その目的に応じて自由に設定できる機能が用意されており、a) 繰り返し読む回数を学習者のレベルや教員のニーズに応じて自由に設定できる、b) 学習者の内省的なコメントの内容を設定できる、c) 英語のみならず、多様な外国語に対応できる機能を備えているなど、本Web型RRプログラムは基本的な開発エンジン部分はどの外国語にも対応できる設計になっている。より多くの研究者や教員の使用に供するように、本ウェブ型教材を有用な研究ツールとして完成させ、近い将来に公開をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年(2013)度完成した一連のテストを使用し、今年度は本プロジェクトの目的である、自動化理論が第二言語によるリーディングのメカニズムを説明できるかどうかの妥当性の検証を行う。6、7月の試験運用を行った後、9月からデータ収集を行う予定である。今回は日本国内と、本プロジェクトの代表者が、所属先の大学から1年間の長期研究員としてアメリカ、テキサス工科大学に派遣されており、当大学の教授であり、そして代表者と長年の共同研究者であるGreta Gorsuch博士と協力し、アメリカでもデータ収集を行う予定である。 将来的には、本ウェブ教材を他の外国語教育の研究者や教員の使用に供するために研究ツールとして公開することを予定している。これにより多様な外国語分野の協力が可能となり、第二言語習得のメカニズムの解明につながることが期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度から2014年度への予算の繰越があるのは、テスト開発が当初のスケジュール通りに進まず、遅れが出たため、それに応じて富士通(株)に依頼する技術支援が次年度に繰り越されたことによる。 すでにテストは開発済みであり、2014年度当初に富士通の技術支援により、ウェブ型教材への組み込むことが予定されている。
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