2014年度の最大の研究実績は、4月末に刊行した永見文雄・三浦信孝・川出良枝編の『ルソーと近代ールソーの回帰・ルソーへの回帰』(風行社)である。これは2012年9月に開いたルソー生誕300周年記念国際東京シンポジウムの記録論文種で、三浦はまえがき(永見と共著)と論文「ジュネーヴ市民ルソーにおける祖国愛の逆説」、j.-F.スピッツ論文の翻訳、年表作成を担当し、全体を監修した。 第二の研究実績は、4月に行った日仏翻訳シンポジウムを書籍化した西永良成・三浦信孝・セシル坂井編『日仏翻訳交流の過去と未来ー来るべき文芸共和国に向けて』(大修館書店、2014年11月)である。第1 部は文学の翻訳交流、第2部は人文社会科学の翻訳交流にあてられ、三浦は第2部の編集を担当、「なぜ人文社会科学の翻訳か?ー文芸共和国から思想の共和国へ」と「社会科学の翻訳における「翻訳は裏切り」ールソー・兆民・カント」を執筆し、4本の論文翻訳を校閲した。本書は文学のみならず人文社会科学の翻訳を仏→日方向だけでなく日→仏方向でも扱った画期的な翻訳交流論である。 6月末には日仏会館とフランス大使館の共催で日仏文化サミット「変化する世界と日仏関係の未来」を組織、2015年3月にそのバイリンガルの報告書を刊行した。 10月には日仏会館で樋口陽一とオリヴィエ・ボーの対論「ルネ・カピタンの知的遺産:共和国・憲法・ルソー」を司会し、ルソーの憲法思想の今日性に光をあてた。ルネ・カピタンはその副産物が永見との共著論文「安倍内閣による解釈改憲は立法主権の簒奪である」を執筆し中央大学の紀要に発表した。
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