平成24年度から本年度に渡る『学習者の自律にむけた自己動機づけ方略獲得への支援の試み』は、平成20~22年に行った基盤研究(C)の『リメディアルの視点から―大学生の英語学習動機意欲減退調査と学習者自律へのニーズ分析』の結果を受け、新たな課題として認識された「学習者の自己調整学習」に関して動機づけとの関係についての調査を行い分析結果を学会等で発表してきた。 26年度は、8月にAustraliaのBrisbaneにおけるAILA学会のポスターセッションにおいて、自己調整学習の中の 'willingness to delay gratification' に関して被験者の文系学生と理系学生の違いに着目しその結果を報告した。理系学生の方がより授業での学びに重点をおいていた。11月には台湾台北でのROC-ETA学会にて、本調査結果のうち自由記述部分に注目をし、その中の、いわゆるソーシャルネットワークシステム(SNS)をどのように自らの英語学習の中で位置づけ英語学習動機とどのように関連しているのかについて発表をした。リッカートスケールの同調査結果では低い数値に留まったSNSの利用は自由記述においては効果的な動機づけ方略として認識される傾向がみられた。12月にはShingaporeのNational University of Singaporeで開催されたCLaSIS 2014学会で発表した。ここではこの科研の本調査結果を受け、杉野が中心となり英語上級者が使用していた上位12項目の自己動機づけ方略を新たにリストとし当該科研の現在の授業の学習者(英語中級、初級者)に対してそれらからやる気の起こるものを選んでもらい3週間にわたってその効果を試してもらった。結果、音楽やYouTubeなど、比較的英語のインプットに対しての動機づけ方略が多くの支持を集めた。
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