本研究は、日本人大学生の英語力、日英作文力、日英語のライティング知識や方略が、3年半の間にどのように変化し相互に影響しあうかを、現在応用言語学の分野で最も注目されているDynamic Systems Theory Approach(DST:ダイナミックシステム理論アプローチ)の視点から明らかにすることを目的にしている。4年間の研究の最終年度となる平成27年度は、4名の学生が中期・長期の留学から帰国した直後の7月に、(1)から(4)のように、研究参与者22名からデータ採取を行った(前年度は24名だった参与者のうち2名は研究参加をやめることになり、最終年度までに全てのデータを提供してくれた参与者は22名となった)。(1)個別に設備のある研究室に来て英語説明文を書いてもらい、書き終わった直後に書いている時の様子を録画したビデオテープを見ながら、書いている最中に何を考えていたかを逐次話してもらい、ICレコーダーに録音した。採取したデータは、直後に転記した。(2) 国語作文も似たような題で書いてもらい方略について聞iいた。日英の作文の題はランダムに毎年違うものがあたるようにした。(3)標準英語力測定テストを用いて、一般的な英語力を測定した。(4)ケーススタディの手法を使って被験者に個別にインタビューを行い、日英語で『書く』ことについての知識や心象モデル、現在までの学習経験や、英語一般や英作文に対する自信や動機付けなどについて調査した。 さらに、上記(1)から(4)を含む参与者の一年生の時から採取したデータ全てを整理して各自の量的データの変化のプロフィールを作り、11月と12月に、そのプロフィールを見せながら、それぞれの変数(例:日英作文力、書く方略)について「3年半で変化したと思うか。又それはなぜか」についてインタビューし、変化に影響を与えた社会文化的要因について語ってもらった。
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