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2013 年度 実施状況報告書

大学英語教育でのパラグラフ・ライティングを促進する評価及び指導ツールの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24520667
研究機関愛知医科大学

研究代表者

久留 友紀子  愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00465543)

研究分担者 大年 順子  岡山大学, その他部局等, 准教授 (10411266)
金志 佳代子  兵庫県立大学, 経営学部, 准教授 (20438253)
山西 博之  関西大学, 外国語学部, 准教授 (30452684)
正木 美知子  大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (80229351)
キーワード第二言語ライティング / パラグラフ・ライティング / ルーブリック / 作文評価
研究概要

本研究では,高等教育での英語教育におけるパラグラフ・ライティング指導を促進するツールと方策を開発することを目的とし,当研究グループが開発・検証してきた英語ライティング・ルーブリック(評価基準)「ルーブリック2009」に対してこれを補完する,評価基準の具体的な解釈一覧と作文サンプル一覧を作成,これにより汎用性の高い評価ツールを開発する。同時に,本来評価ツールであるルーブリックをライティング指導のために活用する方策を探る。
「ルーブリック2009」の解釈一覧を作成するためには,「ルーブリック2009」に関するさまざまな量的・質的データが有用かつ必要であり,そのデータとして「ルーブリック2009」を使用した評価と同時に,これを使用しない評価も重要である。そこで今年度は「ルーブリック2009」を使用しない評価データとして,第三者の英語母語話者の大学教員4名がルーブリックを用いずに英作文を評価した際の自由記述データの分析を行った。具体的には,質的手法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)で自由記述データを切片化し,それらを類似性に基づき分類した内容とルーブリックの項目内容とを比較した。その結果,GTAの分類内容とルーブリックの内容は基本的に同様であることが確認されたが,同時にルーブリックを用いる際に説明を補うべき事柄も見いだされた。
次に「ルーブリック2009」を用いた評価のデータとして,昨年度収集・分析を行ったものと同様の「ルーブリック2009」の下位項目についてのデータをさらに収集することとした。そのために,第三者の日本人の大学教員3名から,ある授業で集められた英作文18編に対する下位項目ごと6段階の評価(量的データ)と,このルーブリックを使用したパラグラフ・ライティングの評価についての自由記述(質的データ)を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,高等教育での英語教育におけるパラグラフ・ライティング指導を促進するツールと方策を開発することである。具体的には(1)当研究グループが開発・検証してきた英語ライティング・ルーブリック(評価基準)「ルーブリック2009」をより汎用性の高い評価ツールとするためにこれを補完する評価基準の具体的な解釈一覧と作文サンプル一覧を作成すること,そして(2)本来評価ツールであるルーブリックをライティング指導のために活用する方策を探ることを計画している。
(1)の「ルーブリック2009」の具体的な解釈一覧の作成は,「ルーブリック2009」に関するさまざまな量的・質的データの分析に基づく必要がある。今年度は「ルーブリック2009」を使わないで行った評価データをグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)に基づいて分析することで,「ルーブリック2009」を用いる際に説明を補うべき事柄を見いだすことができた。この分析から得られた示唆は,昨年度得られた外部評価との比較を含めた分析と共に,解釈一覧の中心となるものである。解釈一覧作成に向けてはさらに下位項目ごとの詳細な量的および質的データが得られ,順調に進んでいる。また,作文サンプル一覧については,解釈一覧についてのデータ分析を進めていく中で具体的に必要とされるものが明確になってきており,昨年度順調に作文データが収集できたことも考慮して順調に進んでいると言える。
昨年同様今年も(1)を優先して研究を進めることとなったが,これまでに既に「ルーブリック2009」をライティング指導のために活用したパイロットスタディは行っていること,また研究グループのメンバーの担当する授業では実際に「ルーブリック2009」を教員・学生の双方で使用していることから(2)についてもおおよその方向性は見えている。従って全体としておおむね順調であると言える。

今後の研究の推進方策

最終年度の次年度は,(1)「ルーブリック2009」を補完する評価基準の具体的な解釈一覧と作文サンプル一覧を完成し試験運用すること,これと並行して(2)「ルーブリック2009」を指導ツールとして活用する方策の開発に向けて指導サンプル案と補助教材案を作成し実際に試験運用することを計画している。
(1)の解釈一覧についてはまず量的・質的データの分析を完了する。ルーブリックを使用したデータとして今年度収集した「ルーブリック2009」の下位項目ごとの評価に関する数値データと自由記述データの分析を含め,これまでの分析を基に解釈一覧を完成する。解釈一覧に合わせて解釈の適切な例となる作文サンプルを選定,あるいは作文サンプルを基にそのような例を作成する。これらについては8月に国際応用言語学会(AILA)で発表を行うことになっている。その後は,収集した実際の作文を使って第3者に評価を依頼し,「ルーブリック2009」と解釈一覧・作文サンプルを合わせた場合とそうでない場合の比較をする。問題・必要があれば改訂とその検証をさらに行う予定である。
(2)の指導サンプル案については,既に行ったパイロット調査の際の指導手順を基にして「ルーブリック2009」を書き直しツールとして活用できるような指導サンプル案と補助教材を考案し,開発者あるいは第三者の実際の授業においてそれを実践する。指導の様子を録画などで記録すると同時に,学生・教員の双方に対して質問紙調査を行い,使いやすさや分かりやすさ,問題点について調査する。問題・必要があれば改訂とその検証をさらに行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は,研究代表者の旅費が予定していたよりも若干少なく済んだことから生じた。
今年度生じた次年度使用額が少額であるため,これを含めた来年度の使用計画は当初の計画と変わらない。文献研究費用,国内および海外での学会発表参加費と旅費,研究会旅費,英文校閲料,印刷事務用品費用に加え,実際の授業において「ルーブリック2009」と補助教材を使用した指導の様子を録画などで記録するための費用と,「ルーブリック2009」とその解釈一覧作文サンプル一覧をまとめた小冊子の作成費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Supplementing an original L2 (English) essay/paragraph writing rubric with interpretations and writing samples2014

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Kuru, Kinshi Kayoko, Michiko Masaki, Junko Otoshi, Hiroyuki Yamanishi
    • 学会等名
      17th World Congress of the International Association of Applied Linguistics (AILA)
    • 発表場所
      Brisbane, Australia
    • 年月日
      2014-08-11
  • [学会発表] 英作文用ルーブリックの使用を助ける解釈例の作成

    • 著者名/発表者名
      大年順子,久留友紀子,正木美知子,山西博之
    • 学会等名
      2013年度大学英語教育学会(JACET)関西支部秋季大会
    • 発表場所
      神戸市外国語大学

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公開日: 2015-05-28  

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