研究実績の概要 |
最終年度である平成27年度には,これまで収集してきた英語CLILに関する内外の文献や情報の精査に基づいて,日本の英語教育改革に対するCLILの意味や影響を考察し,その結果を内外の学会で口頭発表するとともに,論文1編を執筆した。 まず,国内学会としては,平成27年8月第41回全国英語教育学会熊本研究大会において「英語CLILの普及とその教育的影響―東南アジア地域を中心に―」と,平成28年2月関西英語教育学会卒論・修論研究発表セミナーにおける招待講演「英語教育改革と技術移転の問題点(Technology Transferred for ELT Innovations, Promising?)」がある。また,国際学会での発表としては,平成28年3月シンガポールで開催されたThe 51st RELC International Conference on Teaching Literaciesにおいて,“Technology Transfer for ELT Innovations: Case of CLIL in Japan”を行なった。さらに,文字にまとめたものとして,論文「英語教育改革におけるCLILの役割」『京都ノートルダム女子大学研究紀要』第46号(平成28年3月発行)がある。 このたびの科学研究費により,様々な角度から英語CLILの教育的意味や影響を検討したのであるが,東南アジア諸国での先行実践に基づくわが国への示唆・教訓として,つぎのことが指摘できる。重要なことは,教科学習用言語としての機能を英語に持たせ「授業を英語で行なう」という技術的側面ではなく,教科横断的に授業で用いられる「日本語学習語彙」の定義と選定,学習言語の指導についての教科間の連携,英語科における「英語の学習言語」の選定と日本語学習言語との対照など,CLILの原理は学校教育全体に波及することである。
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