研究課題/領域番号 |
24520673
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研究機関 | 京都医療科学大学 |
研究代表者 |
藤枝 美穂 京都医療科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20328173)
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研究分担者 |
鈴木 広子 東海大学, 東海大学教育研究所, 教授 (50191789)
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キーワード | ESP / 医療英語 / 放射線科学 / 診療放射線技師 / コーパス / ジャンル分析 |
研究概要 |
本研究の目的は,ある特定の専門分野(放射線科学)における学習者の成長過程を想定して専門度が異なる複数のESPコーパスを構築し,学習に寄与する段階的なESP語彙リストを作成することである。本年度は,昨年度に引き続いてコーパスの拡充を行い,それぞれが約55万語、5つのサブコーパスから成る(1) 患者向け医療情報コーパス(Rad PE),(2)専門教科書コーパス(Rad TB),(3)研究論文コーパス(Rad RA) を作成した。これらのコーパスを基に,頻度,レンジ,特徴度を指標にしてRad PEでは308語,Rad TBでは342語,Rad RAでは371 語(単位は word family) を抽出,3つの暫定語彙リストを作成した。これらの語彙リストはそれぞれのコーパスにおいて,既存のAcademic Word Listに比べて高いカバー率を示した。3つのコーパス全てに出現した高頻度語はcell, cancer, digital, patients, organなど94 word familiesであった。 さらに、これらの3つのコーパスがそれぞれ独自の特徴をもつジャンルと考えることが妥当であるかを検証するために,共通する上位頻度語についてサブコーパスレベルでコレスポンデンス分析を行ったところ,Rad PE, Rad TB, Rad RAに属するサブコーパスがそれぞれ群をなしてプロットされることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コーパス作成にあたり,紙媒体および電子媒体からのテキストデータ取得およびその整形を手作業で行わなければならず,作業時間が予定よりもかなり多く必要であった。作業を効率よく行うことができる程度の英語力とパソコンスキルを持つ学生アルバイトを長期間確保することが難しかったことが原因である。 コーパスの拡充を優先したため,当初予定していた「肺疾患」限定の小規模コーパスを使ったテキストの質的分析は,量的分析を補完するものとして3年目に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり,作成したリストを一旦公開して現場の放射線技師や専門科目の教員からのフィードバックを得,必要に応じて修正する。最終的な公開方法として,バイリンガル化や例文付与など,学習に役立つ形を検討し実現を図る。 さらに,これまで数年間にわたって蓄積した学習者の産出テキストにおいて作成した語彙リストにある語彙がどのように使われているかを分析することで,医療系ESP教育の授業実践における学習者の産出データと,作成した語彙リスト内の語の関係を質的に分析することを通じ,内容重視型の英語教育が専門語彙の習得と将来の医療従事者としての自己の確立にいかに寄与しうるかを考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算執行は研究を進めていく上で必要に応じて行っており,誤差は新刊書籍など正確な価格が事前にわからなかった物品を購入したため。 使用額は誤差によるためのもので少額であり,研究計画に変更はなく当初予定通りの計画を進めていく。
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