研究課題/領域番号 |
24520676
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 恭子 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (30205976)
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キーワード | 第二言語習得 / 英語 / 非対格動詞 / 能力記述文 |
研究概要 |
本研究の目的である非対格動詞の習得過程の解明に向けて、24年度に行ったパイロットスタディで得られた結果を基に、実験のテスト文作成、使用語彙選定を行い、本実験を実施した。そして得られたデータを分析して、結果を佐藤(2013a, 2013b)にまとめた。これらの結果から明らかになった点として、学習者の示した非対格動詞の誤用パターンが、先行研究の習得過程順序に一致していることが挙げられた。そしてこれらの結果を基に、先行研究(山川他2010)で示された6つの習得段階を確認した。また従来あまり明確にされてこなかった語彙間における習得上の違いが観察され、自発性を表す意味特性を持つ語彙については、受動化の誤用が少なくなる傾向が明らかとなった。 これらの結果を基に「能力記述文」の作成を行った。その際に研究テーマである自動詞だけでなく、その他の文法項目を含んだ英語文法能力についての実態調査を行い、その結果を、CEFRのレベル別の英語の特性を記述したCore Inventory for General English やEnglish Profile Programmeと照らし合わせた。その結果、指導と習得のレベルには段階があることが分かり、今回のテーマである項構造の習得にも、教授項目の提示順序などを示した段階的な能力記述文が必要であることが分かった。これらの結果は佐藤(2014)にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作成された「能力記述文」を学生に使用してもらい、学習者による目標設定や自己評価への活用を予定していたが、そこにいたる学習習慣が学習者にはまだ十分に身についていなかった。そのため、学習記録や学習ストラテジーなどの指導に時間を費やした。しかしながら、これにより今年度は、能力記述文の実際の活用についての検討が可能になったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
25年度実施予定であった、「能力記述文」の学習者による活用とその指導を行い、問題点の検証と修正を行う。また学生の自己評価を基にして、教授項目の順序、時期など指導上の活用についての検討も同時に行う。 さらに最終年度として、研究の総括と結果の公表を関連学会における発表を中心に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度4月に実施した本実験の結果を分析した結果、新たな知見を得ることができた。そしてこのことは、研究目的である習得過程の解明において重要な視点であると考えられた。よってこの点を実証するための実験を行う必要性がでてきた。 新しい知見である非対格動詞の語彙間における習得過程の違いを解明するために、昨年度得られた実験手法を基に、実験に用いる動詞の種類を見直し、新たな点についてのデータを得て実証的に検証する。
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