研究課題/領域番号 |
24520681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山田 一美 関西学院大学, 理工学部, 講師 (90435305)
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研究分担者 |
宮本 陽一 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (50301271)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 項削除 / 名詞句削除 / 非顕在的な要素 / 空主語 / 空目的語 / pro / agreement |
研究概要 |
研究の初年度である24年度は、次年度以降の研究の基盤を形成するためコンピュータを利用した本実験実施の可能性を探った。また、本実験用の実験文完成に向け、まずは日本人スペイン語学習者を対象にスペイン語の実験文(案)を作成し、質問紙を使用した予備実験を実施した。 この予備実験は、スペイン語を学習している成人日本人学習者(大学生16名、中級)を対象としたもので、スペイン語における空主語、空目的語の解釈を調査した。空代名詞とは異なり、日本語の空要素は項削除 (Saito 1997) の結果であるため、strict読みに加え、sloppy読みを許す。ゆえに、実験において学習者がsloppy読みを許すとすれば、空要素は項削除であると考えられる。逆に、許さなければ、空代名詞であると考えられる。スペイン語では空目的語が許されないにも関わらず、本実験では、学習者が空主語よりも空目的語にsloppy読みを許すという結果が得られた(それぞれ22.9%、43.8%)。日本人学習者がスペイン語において空主語、空目的語のsloppy読みを容認したことは、それらの空要素が項削除の結果であること、また、L2文法における母語の影響の存在を示唆している。さらに、この予備実験において、Yamada & Miyamoto (2012)のスペイン人日本語学習者(19名、平均25.4才、初級~中級)を対象とした実験結果(=空主語と空目的語のsloppy読みの容認率がそれぞれ13.2%、36.8%)よりも高い容認率が得られた点も特筆に値する。 この結果を参考に、来年度は、実験文の精密化を図り、本実験を開始する。さらに、現ミニマリストプログラムの枠組みにおいて、特に素性構成の観点から、得られたデータを徐々に分析し、第二言語文法における空要素の検証を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画の通り、次年度以降の研究の基盤を形成するための実験実施の準備を進めることができた。本実験実施と実験データ処理の効率化のための最適なアプリケーションの情報について、海外の大学の研究者から助言を得ることができた。現在はそのアプリケーションをコンピュータにダウンロードし、実験デモンストレーションファイルについて検討中である。さらに、スペイン語を学習している日本人を対象に予備実験を実施することができた。これにより、本実験に向けての実験アイテムの改良点が判明し、また、学習者の目標言語の文法における空要素解釈についてある程度の傾向をとらえることができた。 更に、agreementのない言語のみが項削除を許すという仮説に基づき、ミニマリストプログラムの枠組みにおいて素性構成に関して検討を行い、本実験における仮説構築に向けて理論的基礎を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験で得られた知見を活かし、本実験をコンピュータ上で、国内外における被験者が集まったグループから随時行う予定である。さらに、現ミニマリストプログラムに基づく仮説のもとで、得られた実験結果の分析を開始する。また、agreementがあるにも関わらず、項削除を許す言語があり、この種の言語のagreementに関して更なる理論的な検討が必要である。具体的には、この種の言語におけるagreementが単なる表層的な(PFにおける)現象であるのか、Agree等の統語的な操作によるagreementであるのかを調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度への繰越金額は、研究代表者が96,236円、分担者が121,152円である。代表者の繰越金に関しては、コンピュータを使用した本実験の可能性を探った結果、iPadが必要であることが判明したが、その購入が間に合わず、次年度に購入する予定である。また、分担者が一時期体調不良だったため、その旅費の一部を繰り越すことになった。繰越金は、旅費と物品費で半分ずつ使用予定である。 翌年度分として請求した助成金は、主に本実験データ収集のための旅費、実験の被験者への謝礼、書籍などに使用予定である。
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