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2015 年度 実施状況報告書

非顕在的な要素に関する第二言語習得研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520681
研究機関関西学院大学

研究代表者

山田 一美  関西学院大学, 理工学部, 准教授 (90435305)

研究分担者 宮本 陽一  大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (50301271)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード第二言語習得 / 空項 / 項削除 / D素性 / pro / L2 の影響 / feature based model
研究実績の概要

本研究の4年目となる27年度は新たに3種類のデータを収集した。成果としては、国際学会で発表し、1本の論文を執筆した。
まず10月にスペインの私立語学学校および3つの大学にてスペイン人日本語学習者(52名)を対象とした実験(真偽値判断テスト、文法判断テスト)を実施した。同時にスペイン人統制群(16名)のデータも収集した。11月にはアメリカの大学で英語を母語とするドイツ語学習者(19名)を対象とした同実験を実施した。12月から1月にかけては、日本人スペイン語学習者を対象とし、2つの大学にて19名の学生から協力を得られた。また、追加実験も実施した(4名の日本人ドイツ語学習者(J-GFL)、および2名のドイツ人日本語学習者(G-JFL))。
研究成果として、11月に開催されたLASLAB Workshop on Language Acquisition and the Second Language Classroomにて発表を行った。J-GFLとG-JFLのデータ比較から、特にJ-GFLのドイツ語において空項がstrict読みしか許容しないことに注目し、sloppy読みも許容する日本語からの影響や指示的なproを許容しないドイツ語の影響からは説明ができないことを報告した。結論として、J-GFLがドイツ語よりも英語を先に学習していることから、彼らはL2英語文法をベースとしたL3ドイツ語文法において空項を理解しており、理論的にはL2英語文法における時制TにD素性が加えられたためproが許容され、strict読みのみが容認される結果となったこと、さらに言語転移はL1からの影響のみならずL2からの影響も考慮する必要があることを主張した。
また、3月には「言語と文化」(関西学院大学言語教育研究センター)において、論文としての研究成果を公表した。日本人英語学習者(J-EFL)とドイツ人英語学習者(G-EFL)データを比較し、各学習者のL2習得過程がIshino (2012) のfeature based modelを部分的に修正したMiyamoto(2012)のモデルでの説明が可能であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

27年度は新たに3種類のデータ(スペイン人日本語学習者、日本人スペイン語学習者、英語を母語とするドイツ語学習者)を収集することができ、また国際学会での発表や、論文も執筆し公表することができた。さらに、日本人スペイン語学習者とスペイン人日本語学習者データの検証について「言語科学会第18回国際年次大会(JSLS2016)」にて口頭発表として採択されている。また、2種類の日本語学習者グループ(母語がスペイン語、あるいは英語)のデータについても「The European Second Language Association (EuroSLA) 26」にて口頭発表として採択されている。

今後の研究の推進方策

統計分析に必要な被験者(上級レベル)数を確保するため、28年度も大阪大学で実験協力者を募り、日本人ドイツ語学習者(上級)およびスペイン語学習者(上級)からデータを収集する。また、ドイツ語習得を検証する際にはドイツ人統制群データとの比較が不可欠であるが、すでにベルリン理論言語学研究所の八代和子氏に協力を依頼しており、実験実施のための調整を進めていただけている。次年度は本研究の最終年度であるので、これまでのデータをもとに研究成果をまとめ、公表の準備を進める。

次年度使用額が生じた理由

統計処理を行うため、上級レベルの日本人スペイン語学習者と日本人ドイツ語学習者データを追加する必要がある。また、ドイツ人統制群データ収集が遅れており、こちらも引き続き28年度に実施予定である。

次年度使用額の使用計画

大阪大学外国語学部にて、日本人のスペイン語学習者およびドイツ語学習者を対象に実験を実施する。ドイツ語統制群データについては、すでにベルリン理論言語学研究所の八代和子氏に実験実施の協力を依頼している。前者の調査は国内での実施であり、後者は研究代表者、分担者共に渡独する必要がないため、28年度に繰越しを予定している配分額で十分に調査実施が可能である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] The Centre for General Linguistics (ZAS)(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      The Centre for General Linguistics (ZAS)
  • [雑誌論文] Interpretation of Argument Ellipsis by Japanese and German EFL learners2016

    • 著者名/発表者名
      Kazumi Yamada
    • 雑誌名

      言語と文化

      巻: 19 ページ: 47-61

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] On Interpretation of Null Arguments in L2 Japanese by European non-pro-drop and pro-drop language speakers2016

    • 著者名/発表者名
      Kazumi Yamada, Yoichi Miyamoto
    • 学会等名
      The European Second Language Association (EuroSLA) 26
    • 発表場所
      Jyväskylä (Finland)
    • 年月日
      2016-08-24 – 2016-08-27
    • 国際学会
  • [学会発表] L2 Interpretation of Null Arguments by Japanese SFL learners and Spanish JFL learners2016

    • 著者名/発表者名
      Kazumi Yamada, Yoichi Miyamoto
    • 学会等名
      The Japanese Society for Language Sciences 18th Annual International Conference (JSLS2016)
    • 発表場所
      University of Tokyo Komaba Campus, (東京都・目黒区)
    • 年月日
      2016-06-05
    • 国際学会
  • [学会発表] On Null arguments and L1/L2 Transfer:A Study of Japanese Learners of German as a Foreign Language2015

    • 著者名/発表者名
      Yoichi Miyamoto, Kazumi Yamada, Kazuko Yatsushiro
    • 学会等名
      LASLAB Workshop on Language Acquisition and the Second Language Classroom
    • 発表場所
      Vitoria-Gasteiz (Spain)
    • 年月日
      2015-11-06
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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