研究課題/領域番号 |
24520684
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
庄村 陽子 (一瀬 陽子) 福岡大学, 人文学部, 准教授 (30368881)
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研究分担者 |
梅田 真理 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (80620434)
團迫 雅彦 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 研究員 (50581534)
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キーワード | 理論言語学と獲得調査の融合 / 産出データ / 横断的研究 |
研究概要 |
本研究課題は第二言語習得における学習者の第一言語からの影響と学習可能性を検証するものである。本年は新たに1名の研究分担者と1名の研究協力者を迎え入れ、対象とする言語現象や言語をさらに拡げて調査を実施した。理由はこれまでの第二言語習得研究がインド・ヨーロッパ語において盛んに行われてきたため、インド・ヨーロッパ語族以外の言語にも拡張する必要性があると考えたためである。 調査の概要を具体的に述べると、ここ最近言語学の分野では研究が盛んになってきているものの、習得の分野ではまだ先行研究の少ないとされる「複合動詞」の習得に焦点を当てて調査を行った。対象言語としては言語学的にもまだ解明されていない点も多い韓国語を選び、まず韓国人インフォーマント6名に対し2014年6月から12月にかけて日韓比較の聞き取り調査及びパイロットスタディを行った。その後九州大学の韓国語センターの協力を得て、翌年2015年1月に韓国語日本語学習者32名及び統制群としての日本人コントロールグループ21名に産出タスクと文法判断タスクとからなる実験調査を行った。この結果は現在分析中で、2015年度3つの学会にて発表予定である(うち1つは発表済、もう1つは受理済で6月末に口頭発表予定)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は1名の研究分担者が他県の大学に赴任し、共同で研究を進めるのに多少不便さは生じたものの、新たに1名の研究分担者と1名の研究協力者を迎え入れ、研究のさらなる広がりと深さが加わったように思う。毎週研究室に集まり、長時間にわたる勉強会を実施し、熱心な議論を繰り返しつつ調査計画を練り上げていった。 また、本学への韓国からの留学生の人数自体が少なく、インフォーマント探しには苦労したものの、年末から新年にかけて九州大学の韓国語センターのご協力を得ることができ、無事に予定していた調査を春休み前に実施することができたのは大きな収穫だったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
概要でも述べたように、今後の計画としてはまず、2015年1~2月に収集したデータ分析を終了し、口頭発表と論文発表を行うことである。現時点で2つの学会での発表及び、論文の投稿が決定しており、3本目も9月の学会を念頭に準備を進めている。その後、学会発表で得られた示唆や助言を基に、調査項目を練り直し、事後テストを実施したいと考えている。再度韓国人留学生の確保は困難を極めると思われるが、再度九州大学の韓国語センターに協力を仰ぎ、協力体制のもとで調査を進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金が発生した大きな理由としては、調査計画、準備の都合上、学会発表など支出の比較的大きいイベントが来年度に持ち越されたことによるものである。 来年度は既に3つの学会での口頭発表及び論文集への応募を決定している。また、今年度は実験調査の被験者も当初の予想より少なめであったため、来年度は学会発表を行うのと同時並行で事後テストをもう少し大きな規模で実施できればと考えている。 以上のことから、繰越金を来年度は最大限に活用できるので、研究の一連の流れから考えても、研究費の使用はかなりスムーズに進んでいると言える。
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