研究課題/領域番号 |
24520687
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 関西外国語大学短期大学部 |
研究代表者 |
村上 裕美 関西外国語大学短期大学部, 英米語学科, 准教授 (80300284)
|
研究分担者 |
山田 陽子 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10388473)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | FD / material development |
研究概要 |
本研究の3つの主軸となる①ポートフォリオ、②教材開発、③大学教員の授業力向上を目指すコミュニティ形成にブログを活用する研究の成果は以下のとおりである。 まず、FD活動に心的負担を感じている大学教員に自主的な授業改善の機会を提供する目的で開発した『大学教員のためのFD手帳 MH式ポートフォリオ:教員用』を出版し、より充実したものに改善してゆく目的で多くの大学教員に提供した。次に、授業を考えるフォーラム「授業学研究フォーラム」を開催し、講師(山岸信義)を招いて授業について考察した。また同じフォーラムでは、一つの英文資料から異なる4分野の視点に立った指導法の可能性を紹介した。 さらにメンバーで英語教員の指導の可能性を広げる機会を提供する教材を5種類開発し、JACET、リメディアル教育学会、日本メディア英語学会の大会にて積極的に研究発表を行った。この教材開発の特徴は、選んだ一つの英文を毎回テーマを決め、そのテーマに従いメンバーが専門分野の視点に立ち教材を作成する。また、単なる級材提供ではなく、作成時に考慮すべき項目(対象学習者、レベル、指導の目的、期待できる効果等)を書き込んだ「教材作成に関する情報」と題したシートを添付しており、指導の視点を広げると同時に気づきの機会提供を狙っている。 最後に、作成した教材を提供し、教員相互に意見交換や授業改善に向け気軽に情報交換できる機会提供のためのウエブ「大学英語教員の授業力育成:大学英語教育で授業力向上に真剣に取り組む方々と研究するコミュニテイ」http://bloggoo.ne.jp/hiromikaken/を立ち上げた。経費節約のため、外部委託なしに研究代表者がウエブを作成している。これまでに著作権を確認した資料を用いた2種類の教材をアップしており、希望者に提供している。また、活動を紹介するため英語論文を執筆した。現在審査中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究メンバーの協力を得ながら、着実に研究を進めることができている。特に、教材の作成については、メンバーで検討会を行い教材の質の問題やバリエーションの広さを心がけ、関心を持ってもらえる教材になるよう努力している。 また、研究発表を聞いてくださる方々から本研究への強い関心を持っていただき支えとなる声を多数寄せていただくことから本研究の意義を強く感じている。 特に、研究発表の後のブログへのアクセス数は、多い時で1週間で500件を超えることもある。FD活動や授業改善という言葉に心的負担を感じている大学教員は多いため、この研究を通して少しでも負担を軽減し自然に授業改善に取り組める環境作りに貢献することができると強く感じている。 また、『大学教員のためのFD手帳』は多くの方から有益である、FD概念が覆された、自分を見つめる機会ができた、授業改善の視点を知ることができた等の声を寄せていただいている。使用いただいた方へのアンケート実施を行い、より充実したFD手帳にしてゆく。 開発している教材は、多くの方から強い関心を寄せていただいており、教員が求めている研究活動であることに確信が持てた。今後、この研究の3本柱に従い研究してゆく。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、今後も大学教員の授業力を向上させる目的で3つの内容を研究する。 一つは、ポートフォリオの開発である。使用者の授業力を向上させることができる、より充実したポートフォリオの研究と開発をおこなう。現在出版した大学教員のためのポートフォリオは、科目にこだわらない大学教員全般に適用することができるものであるが、今年は、大学英語教員に焦点を当てた授業改善に導くポートフォリオの開発を行う。 次に、教材開発活動を通じ、FD活動に否定的、もしくは消極的な大学教員が心的負担を感じずに授業改善に取り組むことができる環境の提供を実現するために、第2回研究フォーラムの開催、教材開発の研究会の主催、ポートフォリオの講習会等の各種イベントを行い、活動を拡げる試みを行う。 最後に、ブログの充実を図り、少しでも多くの教員と交流できることを可能にするよう努力する。そのためにも、初年度に支出を控えておいた費用によって、専門家に外注し、見やすく参加しやすいブログになるよう開発を進めていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費使用計画で前年度と異なるのは以下のとおりである。 旅費:500,000 秋にアメリカにて開催されるFD世界大会に参加の予定 人件費・謝礼:400,000 教材作成に必要な英語資料の音源化(音声録音)の謝礼が発生する。また、計画しているイベントの講師謝礼および、ウエブの外注費用として必要となる。
|