研究課題/領域番号 |
24520693
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
金澤 直志 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20311061)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Predictable Input/Output / 第二言語習得 / CAI / TOEIC / Newton TLT / 英語学習教材 / Web教材 |
研究概要 |
本研究の目的は、このPredictable Input/Outputの概念に基づく英文読解を育む教材をコンピュータのオンライン上に開発し、その有効性を実証することである。英文読解プログラムをオンライン化することで、家庭学習が容易となり、教育現場が抱える「学生の学力差」を少しでも埋めていきたい。 平成24年度から25年度までの目標は、本研究の有効性を納得させ得るだけの材料をコンピュータ上に作り出すことである。具体的には、いままで研究を行ってきたPredictable Input/Outputに基づく英文読解教材をコンピュータ上に開発し、それを授業および家庭で実践することである。これにより、学生が日々英語に触れる時間がコンピュータ上に残り、学内で行われるTOEIC-IPテストを基準に具体的な英語力の効果検証を測る。 平成24年度はTOEIC対策を授業に取り入れ、英語授業は活気付いていた。既存のCAI教材の併用により、授業では個人指導が難しかったListeningとReading、さらに単語指導に関して、学生はゲーム感覚で英語に触れながら(体験的に)量的なものを体得することができた。これはTOEICスコアにも現れ、1年間の経年変化では平均30.6ポイント(n=202)の上昇、特に5ポイント以上上昇した142名の平均スコアは58.9ポイント上昇した。 これにより、英文法練習に関する材料が整い、教材を作成しWeb化することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度はTOEIC対策を授業に取り入れ、英語授業は活気付いていた。既存のCAI教材の併用により、授業では個人指導が難しかったListeningとReading、さらに単語指導に関して、学生はゲーム感覚で英語に触れながら(体験的に)量的なものを体得することができた。授業では、web化を計画している英文法教材をプリントとして取り入れ、Learningを強化するweb教材のパイロット版を導入した。 「語感(“Predictable Input/Output”)を応用した英語教育プログラム」での「語感」とは、一般的な主観によるものではなく、単語レベルでは「適切な品詞や派生語を使用できる客観的な感覚」であり、文法レベルでは「主要な語(主語・述語・目的語や補語)とそれ以外の語を区別できる客観的な感覚」を指している。このような「語感」を養成することで、あまり単語力や文法力が無くてもTOEICの問題が解けることを学生に体得させることができた。これにより、「自分でもTOEIC問題が解ける」という自信を持ちTOEICへの動機付けを行うことができた。 これはTOEICスコアにも現れ、1年間の経年変化では平均30.6ポイント(n=202)の上昇、特に5ポイント以上上昇した142名の平均スコアは58.9ポイント上昇した。これにより、英文法練習に関する材料が整い、教材を作成しWeb化することができる確信を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度の研究で得た成果を分析し、Feedbackを教材に反映する。特に、Reading Web教材を研究の中心に据える。学習者が平成24年度に体得した「語感」を利用し、Web教材上で、文中での「意味のまとまり」を意識させる。これは、Predictable Input/Outputの考え方に基づいた従来に無い、具体的にはSlash-Readingを意識したReading Web教材となる。 平成25年度は、英文読解を授業の中心にすえ、英文読解のグループワークを取り入れた。2人の学生に別々のプリントを手渡し、そのプリントにある読解教材を読み上げる事で、お互いの情報の差を意識し、互いに問題を解決する授業を導入した。また、段落ごとのキーワードに意識を向け、キーワードから読解力を視覚化できることを実証していきたい。 Web化には株式会社ニュートンからの協力を得ている。また、家庭にコンピュータの無い学生向けに備品として申請したiPadを貸し出す。これにより個人の学習速度に合った「自学自習」の学習習慣が引き続き保たれ、内容量も2年間で学習するに十分なものとなる。これらの教材を今年1年かけて収集し、今年度の終わりには、Web化にこぎつけたい。 また、来年度早々にTOEICテストが全学的に行われるので、その際には、学生の平均点の推移がさらに高まっている事を願っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
この研究目的を達成するため、上記、関連図書は計画目標(1)“Predictable Input/Output”を応用したTOEIC対策プログラムの研究開発、および授業での実践、Web教材(自学自習システム)と授業との融合、(2)年間の授業モジュールの開発(年間30~35回分)、(3)毎年4月に実施されるTOEIC IP Testデータを収集し、前年度のデータとの比較・分析を行い、「授業時間外での自習」を授業での評価に加えることによる対時間効果の有効性を実証するために利用する。また、物品購入に関しては、必要なコンピュータソフト、統計解析ソフトなどに利用される。 外国旅費は、代表者・金澤の母校Boston Universityで毎年行われる国際会議Boston University Conference on Language Development、およびEuropean Commissionが主催する国際会議での発表、さらに平成20年度からアジアへの発信を重視しENGLISH and ASIA: International Conference on Language and Linguisticsで研究発表を引き続き行う。 国内旅費は、英語授業研究学会(役員:金澤)、日本児童英語教育学会(役員:金澤)、JACET、外国語メディア教育学会などの全国大会への参加・研究成果発表のために利用する。 謝金は、金澤の米国でのアドバイザー(Hutchison博士・Boston University)、欧州でのアドバイザー(Williams博士・University of Westminster, UK)、国内での研究者(大阪市立大学大学院・井狩幸男教授、関西大学・山本英一教授など)から受ける専門的知識の提供に対して利用する。
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