研究課題/領域番号 |
24520693
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
金澤 直志 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20311061)
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キーワード | 英語教授法 / CAI / 英文読解 / Predictable Input/Output / 学力差 / TOEIC / Ipodの導入 |
研究概要 |
本研究の目的は、このPredictable Input/Outputの概念に基づく英文読解を育む教材をコンピュータのオンライン上に開発し、その有効性を実証することである。英文読解プログラムをオンライン化することで、家庭学習が容易となり、教育現場が抱える「学生の学力差」を少しでも埋めていきたい。 平成26年度の目標は、本研究の有効性を納得させ得るだけの材料をコンピュータ上に作り出すことである。平成25年度に授業で行った紙媒体により開発された教材および解説をコンピュータ上に作成し、コンピュータによる学力評価ができるようにすることである。具体的には、いままで研究を行ってきたPredictable Input/Outputに基づく英文読解教材をコンピュータ上に開発し、それを授業および家庭で実践することである。これにより、学生が日々英語に触れる時間がコンピュータ上に残り、学内で行われるTOEIC-IPテストを基準に具体的な英語力の効果検証を測る。 平成25年度は、1話200語から300語までの短編を “Reader A”と “Reader B”の2つに分割し学生に配布し、Reader AがReader Bに読み聞かせた後で、Reader BはReader Aにその話の続きを読み聞かせる。Reader Bの最後には、その短編に関する質問があり、Reader AとReader Bは共に答える。これにより英語授業は活気付いていた。授業では個人指導が難しかったListeningとReading、さらに単語指導に関して、学生はゲーム感覚で英語に触れながら(体験的に)量的なものを体得することができた。これはTOEICスコアにも現れ、1年間の経年変化では平均43.3ポイント(n=186)の上昇、特に5ポイント以上上昇した118名の平均スコアは76.1ポイント上昇した。特にReadingの差は大きく、前年度より47.3ポイントも上昇した。これにより、英文読解練習に関する材料が整い、教材を作成しWeb化することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は英文読解対策を授業に取り入れ、英語授業は活気付いていた。授業では、紙媒体ではあるが、授業では個人指導が難しかったListeningとReading aloud、さらに単語指導に関して、学生はゲーム感覚で英語に触れながら(体験的に)量的なものを体得することができた。このようにweb化を計画している英文読解教材をプリントとして取り入れ、Learningを強化するweb教材のパイロット版を導入できた。 「語感(“Predictable Input/Output”)を応用した英語教育プログラム」での「語感」とは、一般的な主観によるものではなく、単語レベルでは「適切な品詞や派生語を使用できる客観的な感覚」であり、英文読解においては「字面を追うのではなく、頭の中に相手が行っていることを映像化し、『次に何が書いているのか』ということを積極的にとらえる」を指している。このような「語感」を養成することで、あまり単語力や文法力が無くても英語が読めることを学生に体得させることができた。これにより、「自分でも英語が読める」という自信を持ちTOEICへの動機付けを行うことができた。 これはTOEICスコアにも現れ、1年間の経年変化では平均43.3ポイント(n=186)の上昇、特に5ポイント以上上昇した118名の平均スコアは76.1ポイント上昇、特にReadingに関しては47.3ポイント上昇した。これにより、英文読解練習に関する材料が整い、教材を作成しWeb化することができる確信を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度の研究で得た成果を分析し、Feedbackを教材に反映する。特に、Reading Web教材を研究の中心に据える。学習者が平成25年度に体得した「語感」を利用し、Web教材上で、文中での「意味のまとまり」を意識させる。これは、Predictable Input/Outputの考え方に基づいた従来に無い、具体的にはSlash-Readingを意識したReading Web教材となる。 平成26年度は、引き続き英文読解を授業の中心にすえ、英文読解のグループワークを取り入れる。2人の学生に別々のプリントを手渡し、そのプリントにある読解教材を読み上げる事で、お互いの情報の差を意識し、互いに問題を解決する授業をさらに進化させる。また、段落ごとのキーワードに意識を向け、キーワードから読解力を視覚化することで英語読解力の1つの評価基準にしていきたい。 Web化には株式会社ニュートンからの協力を得ている。また、家庭にコンピュータの無い学生向けに備品として申請したiPodを貸し出す。これにより個人の学習速度に合った「自学自習」の学習習慣が引き続き保たれ、内容量も2年間で学習するに十分なものとなる。これらの教材を今年1年かけて収集し、今年度の終わりには、Web化にこぎつけたい。 また、来年度早々にTOEICテストが全学的に行われるので、その際には、学生の平均点の推移がさらに高まっている事を願っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
より十分な問題数を確保するため教材開発に、また、教材のweb化にも遅れが生じた。さらに、英文読解問題をweb教材として掲載するため、ユーザーインターフェイスの開発にも、ややおくれが生じている。平成26年度前期には、その問題も解決され、前期に役務として、コンピュータ開発会社ヴォルテック社に3次開発費用として30万円ほど支払われる予定である。 この研究目的を達成するため、関連図書は計画目標(1)“Predictable Input/Output”を応用したTOEIC対策プログラムの研究開発、Web教材(自学自習システム)と授業との融合、(2)年間の授業モジュールの開発(年間30~35回分)に利用する。物品購入に関しては、必要なコンピュータソフトなどに利用される。外国旅費は、代表者・金澤が毎年発表を行っているEuropean Commissionが主催する国際会議での発表を行う。国内旅費は、日本児童英語教育学会(役員:金澤)、外国語メディア教育学会などの全国大会への参加・研究成果発表のために利用する。謝金は、金澤の国内外でのアドバイザー(Williams博士・University of Westminster, UKなど)から受ける専門的知識の提供に対して利用する。
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