研究概要 |
日本人英語の国際的理解度を阻害する要因を音声学的見地から分析した。具体的には、複数の日本人大学生が音読した音声データを、母語を異にする4つの大学生被験者グループ(英語を母語とするアメリカ人、英語を公用語とするフィリピン人、英語を外国語として学ぶ韓国人、英語を外国語として学び音声提供者と同じ母語を持つ日本人、各グループ約50名)に聞かせ、ネイティブ・スピーカーの規範的発音とは異なる逸脱箇所(wrong word substitution, lack of sentence stress, shifted word stress, problems with vowels, and problems with consonants)を中心にディクテーションさせたところ、ディクテーション得点に差はあるものの、理解度を損ねる音声学的ポイントについてグループ間に共通性があることがわかった。国際語共通語としての英語教育を目指す教育現場や教材作成過程において、注目すべき結果であると考えられる。 また、一般的日本人英語学習者になじみのない訛りを持つ英語(インド、スリランカ、ガーナなどの英語)を大学生被験者に聞いてもらい、被験者の母語における方言や訛り使用状況が、なじみのない訛りの英語評価にどう影響するのかを調査した。さらに、被験者の英語発音に対する自己評価が、訛りのある英語評価にどう影響するのかについても調査した。結果から、日本語の訛りや方言に対する見方・考え方が、さらには自身の英語発音に対する評価がL2の音声評価に影響を与えていることが示唆された。
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