研究課題/領域番号 |
24520698
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
松浦 浩子 福島大学, 経済経営学類, 教授 (70199751)
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キーワード | 世界共通語としての英語 / 理解度 / カタカナ英語 |
研究概要 |
25年度は、主として中級レベル以下の日本人学習者の英語によくみられるカタカナ英語の理解度を、多様な母語の聞き手を対象として調査した。聞き手は、英語を母語とするグループ(Inner Circle)の代表としてアメリカ人大学生、英語を公用語として使用するグループ(Outer Circle)のフィリピン人大学生、英語を外国語として学習するグループ(Expanding Circle)の韓国人大学生である。各グループの被験者は、それぞれの母国の大学に在籍し、日本語を履修したことはない。これらの被験者はカタカナ英語の語彙を含む英文40個を聞かせ、2つのタスクを課した。一つ目はカタカナ英語的発音から意図された正しい英単語を復活させるタスク、二つ目は、いわゆる和製英語から意図された正しい英語の意味を推測させるタスクである。調査項目の難易度ランキングを被験者グループ間で比較したところ、アメリカ人グループとフィリピン人グループは似通ったランキング傾向を示したが、韓国人グループのランキングはこれら2グループとかけ離れた特異なものであった。韓国語にはカタカナ英語に近い発音の単語がある一方で、音声学的にかけ離れたものも多いこと、また和製英語と同形態・同意味の語彙表現があることが大きく影響しているものと考えられる。英語指導者や教材開発者は、アメリカ人やフィリピン人のようなInner Circle, Outer Circleの聞き手を念頭にカタカナ英語を扱うべきであるが、韓国人聞き手のような特異なケースを社会言語学的事例として紹介することも可能であろう。以上の成果については、アメリカ応用言語学会(AAAL2014)にて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は、国際共通語としての英語理解度向上のための効果的教材開発に資する情報を得ることを目的とする基礎研究である。25年度は日本語のいわゆるカタカナ英語に焦点を当て、どのようなカタカナ英語が多様な母語の聞き手の理解度を損なうのか、またそれは聞き手の母語にかかわらず世界共通であるのか否かについて調査・分析した。結果をアメリカ応用言語学会大会にて発表するなどして、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
カタカナ英語の理解度に関する研究については、聞き手にインドネシア人大学生グループを加え、アジアの文脈でさらに調査の幅を広げる予定である。これについては、すでにインドネシア人大学教員から研究協力の了承を得ている。 日本人を聞き手とする多様な英語の理解度に基づく英語カテゴリー作成については、当該年度中に十分な種類の音声サンプルが得られなかったため、当初予定していたノンネイティブ英語を含む変種カテゴリーの構築からネイティブ英語に限定したカテゴリーへと計画変更の予定である。これについては、音声編集等の作業が整い次第、データ収集を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたアメリカ出張滞在日数が9日間から5日間に減じたため。 次年度インドネシアで開催される国際学会にて、インドネシア人聞き手を対象としたカタカナ英語の理解度について発表予定。このための旅費の一部として支出する。
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