26年度は、(1)インドネシア人聞き手に対するカタカナ英語・和製英語の理解度調査、(2)多様な英語発音に対する日本人学習者の理解度のモデル化という2つの研究課題に重点的に取り組んだ。以下に概要を説明する。
(1)高等教育機関に在籍するインドネシア人学生集団に対して、カタカナ英語的発音から話者の意図した英単語を復活させること、和製英語から意図した意味内容を推測することの2つのタスクを与えたところ、調査項目の難易度ランキングにおいてアメリカ人英語母語話者とは明らかに異なる傾向が見られた。また、インドネシア人被験者の英語力と日本人英語の理解度との相関関係について調べたところ、リーディング力の高い被験者ほどカタカナ英語・和製英語の意味をよく推測できるという結果が得られた。カタカナ英語・和製英語が理解度低下の主要因である一方で、文化や英語力などの聞き手側要因も理解度に寄与しうることを教員や学習者は考慮すべきだろう。
(2)英語を第二言語として使用するアジア及びアフリカの人々の英語を日本人英語学習者に聞かせ、被験者の英語力、理解度評価、訛り評価、実際の理解度の4つを変数として相互の関連性について調べた。結果から、理解度評価及び訛り評価は実際の理解度の指標にはなりにくい一方で、英語力は実際の理解度の説明変数となりうること、訛り評価は英語力に影響されないことが明らかになった。さらに、重回帰分析の結果、英語力下位グループのリーディング力が実理解度に影響することが示唆されたが、上位・中位グループについては同様の結果が得られなかった。
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